「ゴッドファザー・オブ・GT-R」田村宏志氏に聞いた「フェアレディZ」との違い、そして次世代型の実現度

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しかし、その希少性も古さを感じさせない一因かもしれない。2025年モデルに乗っても、ひたすら「いいなぁ」と感心してしまうほどだった。

発表当初は、ちょっと大きい印象を走りからも感じた記憶があるが、ハンドリングはどんどん洗練され、ライバルたちがサイズを拡大していく中で、大きさも感じなくなった。非常によくできたスポーツカーの感覚だ。

マニュアル変速機を採用しなかった理由

大きな魅力はエンジンのチューニング。先に触れたとおり、大パワー、大トルク。同時に上の回転域まで気持ちよく、ビュンっと回っていく。

開発当初(2000年代初頭)は、スポーツカーはマニュアル変速機が当然で、デュアルクラッチの2ペダル式は「違うんじゃないか」という懐疑論も社内にあったとか。

しかし、600Nmを超える大トルクをマニュアルで、クラッチをつないだり切ったりしながら走らせるのは、なかなかたいへんそう。

一貫してデュアルクラッチトランスミッションのみを採用した(写真:日産自動車)

それにモータースポーツ参戦も前提だった。小さなコーナーが連続するコースだと、一般的に変速に時間がかかるマニュアルは分が悪い。

「あらゆるドライバーがあらゆるシーンで最高のパフォーマンスを楽しむことを可能とし、走る道や天候、ドライバーのテクニックなどに性能が限定されず、安心してスーパーカーライフが楽しめるクルマ」

上記は日産によるGT-Rの解説。実際、そのとおりの出来映えだった。

次世代があるとしたら、期待されるのは2020年代後半のスポーツカー、あるいはスポーツGT市場で、十分な競争力を持つことだ。動力性能に加え、環境性能、生産効率など、さまざまな要素もからんでくる。

田村氏は「GT-Rは日産DNAの本質を表すクルマ」という(写真:日産自動車)

「私も、次世代をやってみたいと思いました。でも、企画を立ててから開発には6~7年かかる。しかも、膨大なコストが要求されます。会社にその体力があるのか。それを考え合わせて、自分ではプロジェクトを進めることができませんでした」

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