やりたい仕事は絶対に出会えない? Z世代と上司のモヤモヤを解く「やりがい探し」からの脱却法

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あなたの仕事も、そして、これを書いている私の業務も、同じぐらい「どうでもいい」し、同じぐらい「エッセンシャル」なのです。誰かにとってあなたのタスクは欠かせないし、別の誰かには「不要不急」です。

感情の面でもそうです。嫌気が差す時もあれば、ゾーンに入る場合もある。それこそが仕事の醍醐味にほかなりません。

精神論ではありません。あなたも私も折に触れて、自分の「ブルシット・ジョブ」ぶりを相対化すればいいのではないでしょうか。

なぜやりたい仕事には絶対に出会えないのか

新人くん:「全部の仕事がブルシット・ジョブってことは、やりたい仕事って、ないわけ? だったら転職も無意味ってか、仕事自体、意味なくね?」

先生:「お金を稼がないと生きていけないっていうのが、仕事の意味への答えなんだろうけど、もう少し考えてみようか」

教育社会学者の本田由紀が打ち出した「やりがいの搾取」を、聞いた覚えがあるかもしれません。時間や労力に見合わない給料や待遇を、働く人の「やりがい」に付け込んで強いているのではないか。そんな問題意識に基づいたことばです。

「やりたい仕事」を社会学で考える時には、この概念をもってくるのが妥当ですが、ここでは別の角度から探りましょう。

社会学の概念に「ライフコース」ということばがあります。アメリカの社会学者グレン・エルダーが唱えたこの概念に着目しましょう。

単純にまとめると、人生いろいろ、です。山あり谷あり、いろんな時期がある、そう考えれば「やりたい仕事」探しから自由になれるはずです。

あなたがいま「やりたい仕事」を見つけられていないとしても、やりたい仕事につけなかったとしても、あなた(だけ)のせいではありません。エルダーは「個人が時間の経過の中で演じる社会的な出来事や役割の配列」を「ライフコース」と呼び、人生は本人と社会、それぞれが互いに織りなす、そう見たのです。

社会学では、つぎの3つの要素に注目してきました。それは、「年齢」と「時代」と「世代」です。

1つめの「年齢」はシンプルです。23歳の時の「やりたい仕事」は、44歳になれば違う可能性が高い。もし仮に変わらないとしても、受け止め方は違うでしょう。

業種だけではありません。たとえ同じ仕事だとしても、1年目では管理職はできませんし、30年目での下働きはつらい。これを「加齢効果」と言います。

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