やりたい仕事は絶対に出会えない? Z世代と上司のモヤモヤを解く「やりがい探し」からの脱却法

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2つめの「時代(効果)」は、コロナ禍やバブル、古くは戦争といった、同じ時代の共通した経験による影響です。リモートワークが広まったり、あるいは逆に通勤電車の混雑が普通になったり、その時の状況による変化は、1人ひとりの人生を多かれ少なかれ変えます。

あなたが思い浮かべる「やりたい仕事」もまた、時代の子にほかなりません。

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3つめの「世代」は、込み入っているだけに重要です。

「加齢効果」と「時代効果」を合わせたものといえましょう。ある年齢で、同じ経験をしたために、その世代に共通して見られる効果を指します。「団塊の世代」や「バブル世代」、もしくは「ゆとり世代」などの呼び方を聞いたことがあるかもしれません。あなたもまた、同じ世代のひとりなのです。

「やりたい仕事」を探して、悪い待遇に甘んじたり、かえって苦境を求めたりするとしたら、それもまた、こうした3つの要素によるものです。

「ライフコース」概念は、これまで家族のかたちを考える時に使われてきました。お見合い結婚よりも恋愛結婚が増える「時代」のなかで、その「年齢」に応じた「世代」に見られる人生を送ったといった分析です。

であれば、「やりたい仕事」をあなたが求める、その姿もまたこうした「時代」「年齢」「世代」の3つの要素(効果)の賜物です。探すのがいいのか悪いのか、有益なのか無駄なのか、そう性急に考えるよりも、まず「人生いろいろ」と気楽に考えるのが先ではないでしょうか。

人生全体、さらには社会全体の流れのなかのひとコマに「やりたい仕事」があります。

「やりたい仕事」にとらわれず

ライフコースを考えると、「やりたい仕事」への欲を抑えるのは難しい。「やりがい」にとらわれずに長い目で見て、柔軟に考えるほかありません。

あなたの「年齢」のせいなのか、さもなければ「時代」や「世代」が理由なのか、自分を見つめるためにこそ、自分以外の要素に目を向ける。そんな姿勢のなかで、「やりたい仕事」への見方をほぐせるかもしれません。

ほぐせる/ほぐせないの線引きもまた、あなた(だけ)が原因ではなく、いわば偶然の産物、それぐらい肩の力を抜いてみてはどうでしょうか。

鈴木 洋仁 神戸学院大学現代社会学部准教授

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すずき ひろひと / Hirohito Suzuki

東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。1980年東京都生まれ。2004年、京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送入社。2010年、株式会社ドワンゴに入社、2011年から2016年まで独立行政法人国際交流基金勤務。その後、東京大学大学総合教育研究センター特任助教、事業構想大学院大学准教授、東洋大学グローバル・イノベーション学研究センター研究助手を経て、2023年から現職。著書に、『「三代目」スタディーズ 世代と系図から読む近代日本』(青土社、2021年)、『「元号」と戦後日本』(青土社、2017年)、『「平成」論』(青弓社、2014年)などがある。

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