一歩先行く「留学しやすい大学」はどこだ? 学校によってこんなにも違う!
中央大学商学部4年生の阿部立希さん(22)は、2014年8月から15年4月まで、シンガポール経営大学に留学していた。国をあげての奨学金制度「トビタテ!留学JAPAN」に認められ、1期生に選ばれたことから、お金の面では不安なく留学生活を送ることができた。
さらに、経団連が16年4月入社の就活の選考解禁を4カ月繰り下げて8月としたことから、就活にも間に合い、シンガポール留学を武器に商社の内定を勝ち取ることができた。
ただ、このようなケースは、極めてまれだという。
留学しやすい大学とは
シンガポールは8月に新学期を迎え、学年が終わるのが5月。だから、なんとか就活に間に合った。
欧米に留学した友人のなかには、就活を意識せずに6月に帰国し、準備したものの間に合わずに、本命企業に内定できなかった人もいるという。
「4年生の就活時期を逃すと、新卒という『箔(はく)』が落ちてしまう。それでは平等に戦えないかもしれないという不安から、留学を選択しなかった友人もいます」
早稲田大学で学生たちの留学をサポートしている国際部国際教育企画課兼留学センターの眞谷国光さんもこう話す。
「3年生の秋に留学すると、帰国するのは4年生の夏。就活の時期が繰り下げになっても4年生は間に合わない可能性がある。経団連に未加入のIT企業などもどう動くかわからないので安心できず、『新卒』を担保するために留年を選んで卒業を1年延ばすことも考えられます」
こうした不具合は、企業と大学が手を携えて事に当たらなければなくならない。一方で、大学がいま、できることから「留学しにくさ」解消に動いていることは事実だ。
末尾に挙げた四つの制度「4学期制」「秋入学」「交換留学協定校」「ダブル・ディグリー」の有無が、「留学しやすい大学かどうか」の一つの指標になるだろう。