「もっと自分で考えろ」と言うだけ上司の無責任 外資系マネジャーが実践してきた、部下の「考える力」の磨き方
2つ目の問いかけ:「なぜ、私はこう考えたのか?」
思考力を鍛える2つ目の問いかけは、「なぜ、私はこう考えたのか?」です。
これは、上司の思考のプロセスを部下に学んでもらうためのものです。自分が管理職として何らかの判断を行い、部下に結論とその理由を伝える場面があったとします。そのとき、判断理由を伝える前に、「なぜ、私はこう考えたのか?」と部下に一度問いかけるのです。
部下の回答が的を射たものであればそれを認め、そうでなければ、自分の判断根拠を説明します。判断の目的は何か、何を優先させたか、判断の影響をどこまで考えたか、どのタイミングで見直すことがあり得るかなど、結論に至る自分の思考のプロセスを一緒に追っていくことが部下の学びとなります。
ポイントは、自分が判断理由を伝える前に必ず部下に考えてもらうことです。カラオケがうまくなるためには、何度も歌ってみる必要があります。ゲームがうまくなるためには、繰り返しゲームをする必要があります。再現性のある判断力を高めるためには、何度も自分で判断してみる訓練が必要なのです。
上司にとっても、部下に理路整然と説明できるだけの根拠がなければ、このように問いかけることはできません。「エイヤッ」「何となく」などのいい加減な説明では部下は納得しません。部下に、「なぜ、私はこう考えたのか?」と問いかけることは、上司にとっても、結論に至る合理的な思考プロセスを固める訓練になるのです。
私たちは部下に、「1つ上の立場で考えてみよう」と促すことがあります。視座を高め、視野を広げて全体を見ることが、より質の高い思考の助けになるからです。
しかし残念ながら、それは簡単にできることではありません。上司と部下とでは、持っている情報量が大きく違います。役割や責任も異なります。なにより部下は、実際に上司の立場で仕事をした経験がありません。
情報格差があり、役割や責任も違い、しかも経験したことがないこと。これをイメージするのは、よほど想像力がある人以外は困難なのです。
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