「もっと自分で考えろ」と言うだけ上司の無責任 外資系マネジャーが実践してきた、部下の「考える力」の磨き方
1つ目の問いかけ:「なぜ、あなたはそう考えたのか?」
1つ目の問いかけは、「なぜ、あなたはそう考えたのか?」です。部下が「仕事をこのように進めたい」と自分なりの考えを持ってきたとき、内容にかかわらず、そう考えた根拠を確認するのです。
例として、2日間の顧客セミナーの運営を任せた部下との会話です。
部下「今年の顧客セミナーの講師は、半分以上を海外オフィスから呼ぼうと思います」
上司「いいと思いますが、なぜそう考えたのですか?」
ここで、部下が明確な根拠を述べることができるかどうかです。「海外投資が加速しているいま、顧客の関心は現地の運用担当者の生の声を聞くことです。私たちグローバル企業だからこそ、その期待に応えることができるのです」――合理的な根拠であり、「そのとおりですね。いいでしょう。海外オフィスへの講師依頼でサポートが必要であれば言ってください」と返せばよいでしょう。
ところが、「いや、何となくグローバル感を出したくて」とか、「ロンドンのジェームズが紅葉の日本に来たがっていたので」など、根拠のない回答をするようではOKは出せません。
成長とは、できないことができるようになること、すなわち、再現性のある能力を新たに獲得することです。根拠のない考えを許してしまうと、たとえ結果オーライでも、そこからは何も学ばず成長もありません。「なぜ、そう考えたのですか?」で、結論への合理的な思考プロセスを磨くことで、再現性のある思考力を身に付けることができるのです。
私がアメリカ人上司に自分の判断を伝えるときも、必ず”Why?”と根拠を質問されていました。それに納得性のある回答をして初めて、”OK, Go ahead(先に進めよう)”と言ってもらえました。根拠の希薄な判断などできないため、しっかりと考えるトレーニングになっていました。
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