自分らしい人生を見つけたい、日本という国は私には合わない、私にピッタリの人はどこにいるの――。いわゆる「自分探しの旅」を続け、遠くオランダの地で13歳年下の男性と結ばれた女性がいる。現地で社会福祉系の専門職に就いている岡本聖子さん(仮名、49歳)だ。
「懐の広い彼は私のお兄さんのようでもあり、お母さんでもお父さんでもあります」
聖子さんは夫のヨハネスさん(仮名、36歳)に精神的に依存するような発言をするが、Zoom画面越しの見た目からはしっかりした印象を受ける、整った顔立ちの和風美人だ。ヨハネスさんは口ひげを生やした坊主頭だがイカつくはない。細身で、人懐っこい笑みを常に浮かべて日本語で一生懸命に答えてくれる、女性的な雰囲気の男性だ。一見、ヨハネスさんのほうが弟キャラのようにも見えるが、実際の夫婦関係は異なるようだ。
2人が結婚したのは2年前の夏。本連載は35歳以上で結婚した人を「晩婚さん」と定義しているので、ヨハネスさんはギリギリ取材対象外となる。オブザーバーとしてインタビューに参加してもらった。
付き合う相手に「父」を求めていた
東京出身の聖子さん。父方は古い家柄で、男性ばかりが優遇される家庭環境に違和感を覚えながら育ったという。
「両親は私が中学校に上がる頃に離婚し、父はすぐに再婚。『私は愛されていなかったんだな』と思いました。かなり年上の男性とばかり付き合うようになったのは、父を求めていたのかもしれません」と、ファザコンを告白する聖子さん。
福祉系の専門学校を出たものの、すぐに働く気持ちにはなれなかったという。バックパッカーとしてオーストラリア旅行などをした後、障害児福祉の分野にやりがいを見出した。
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