「へにょへにょテニス」で世界に衝撃、大坂なおみも絶賛する女子テニス界・異色の新星《伊藤あおい》は何がスゴいのか

女子テニス界に突如現れたシンデレラガール、伊藤あおい選手(21)。パワーテニスが主流の中、「へにょへにょテニス」と称される緩急を自在に操るプレースタイルで、屈強な海外選手を幻惑。テニス界に衝撃を与えている。
それだけでなく「握力12キロ」「練習は市営コート」「専属コーチは父親」など、テニス選手としてとにかく“常識はずれ”だ。大坂なおみ選手も「私には絶対にできない」と絶賛する、規格外の「へにょへにょテニス」はいかにして生まれたのか。
世界9位を破った“うっちゃり”の衝撃
セカンドサーブをコートの内側に入って強烈に叩くと、果敢にリターンダッシュ。奇襲に相手が虚を突かれ、なんとか返したボールを、ボレーでクロスに沈める――。
7月に行われた「ナショナルバンク・オープン」(カナダ・モントリオール)で、伊藤あおい選手が世界ランキング9位(対戦時)のジャスミン・パオリーニ選手を破った瞬間だ。2−6、1−4の劣勢をはねのけ、2−6、7−5、7−6のフルセットで昨年の全仏オープン、ウィンブルドン準優勝選手を“うっちゃった”。
「最初はボロ負けしないようにと思って。4ゲームは取りたいと思っていました……」
試合後の取材で伊藤選手はそうおどけてみせた。しかし、このアップセット(番狂わせ)は決してフロックではない。
彼女が世界にその名を知らしめたのは、2024年10月に日本で開催された「木下グループジャパンオープン」だ。全豪オープン優勝経験者のソフィア・ケニン選手など強豪選手を次々と撃破し、準決勝に進出した。
翌25年は、彼女にとってまさに飛躍のシーズンとなった。全豪オープンの前哨戦となる「キャンベラ国際」(豪州・キャンベラ)でWTA(女子プロテニスを統括する国際団体)主催のツアー大会での初優勝を飾ると、その後はWTAの最高グレード「WTA1000」に計6大会出場。うち5大会で予選を勝ち上がる快挙を演じた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら