「へにょへにょテニス」で世界に衝撃、大坂なおみも絶賛する女子テニス界・異色の新星《伊藤あおい》は何がスゴいのか

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中でも、「ナショナルバンク・オープン」と翌週の「シンシナティ・オープン」(アメリカ・シンシナティ)の2大会では続けてベスト32に進出。世界のテニスファンに「AOI ITO」の名と、そのプレースタイルを強烈に印象づけた。テニスの4大大会「グランドスラム」にもすべて出場し、ウィンブルドン選手権では本戦のコートに立った。

シーズン開始時には126位だったWTAランキングは、トッププレーヤーの証しである100位を切り、82位まで上昇(25年8月18日)。大坂なおみ選手に次ぐ日本人2位にまで上りつめた。まさに女子テニス界に突如現れた「シンデレラガール」だ。

世界を惑わす「あおい沼」

インタビュー
帰国中の伊藤選手は拠点にしている東京・立川でインタビューに応じてくれた(撮影:今井康一)

「このスイーツ、食べてもいいですか?」

伊藤選手がメニュー表から指さしたのは、フォンダンショコラ。「アスリートだし食事制限はないの?」と聞くと「ぜんぜん。好きなものばかり食べてます。甘いもの大好きです!」と無邪気に笑う。

実は彼女、今シーズンのツアーを離脱し、日本に帰国している。連戦の途中で腰の痛みに見舞われ(診断は「腰椎の疲労骨折」)、全米オープンを最後に療養に専念することを決断したのだ。

取材で落ち合ったのは東京・立川の喫茶店だった。カジュアルな私服に身を包み、メニュー表とにらめっこするその姿は、本当に失礼なのだが、どこにでもいる女子大生のよう。誰も「世界80位のテニス選手」だとは気づかないだろう。

フォンダンショコラをほおばる伊藤選手に今シーズンの快進撃の要因を尋ねてみると、「わからないんですよね。自分でもどうしてこの位置にいるのか……」と他人事のように答える。

「周りを見渡しても、本当にすごい人たちばかりで、体格も、ショットの音もまるで違う。場違いだなぁ、と思いながらツアーを回っていましたね」

自称「へにょへにょテニス」――。パワーテニスが主流となっている現在の女子プロテニス界にあって、伊藤選手のプレースタイルは異色中の異色だ。

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