「へにょへにょテニス」で世界に衝撃、大坂なおみも絶賛する女子テニス界・異色の新星《伊藤あおい》は何がスゴいのか

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「格上の選手と対戦すると、相手が私のプレーに勝手にいら立ってプレーレベルが下がるんです。一方で、格下の選手はノンプレッシャーで向かってくるので、私としてはそっちのほうがやりにくい。トップ100の選手も300位台の選手も、同じくらいの強さに感じますね」

この傾向は当然、獲得賞金にも表れる。世界のトッププロが集うWTA主催のツアー大会での獲得賞金額は、1大会平均1万3681ドル。対して、若手選手の登竜門に位置づけられるITF(国際テニス連盟)主催ツアーでは、同1917ドル。実に7倍以上もの開きがある。

ツアー種別戦績

格上の選手と対戦したほうが結果が出るのなら、グレードの高い試合を優先的に選んだほうが「稼げる」というわけだ。こう表現するのは失礼かもしれないが、まさに「高単価・高収益」のビジネスモデルだ。

“常識はずれ”の新星はいかにして生まれたのか

伊藤選手の「異例さ」は、選手としての環境にもある。トッププレーヤーの多くは、専属のコーチやトレーナーとチームを組んでツアーを転戦する。対して、伊藤選手に帯同するのは両親のみ。コーチは父の時義(ときよし)さんが務め、母のさや夏さんが食事など生活面をサポートする。「ホテルも両親と一緒だから節約できるし、家族旅行みたいなものです」と本人は笑う。

さらに驚かされるのは、日本で主に練習拠点としているのは市営コート。「市営コートを借りて練習するトップテニス選手」など前代未聞だ。

テニス選手にとっての生命線ともいえる、ラケットのガット。多くの選手がテンション(硬さ)を気にしながら頻繁に張り替えるのに対し、「お金もかかるし、自然に切れるまで使い続けます。1、2カ月は持ちますね」。

つまり、通常のトップ選手と比べて、あらゆる面で「コスパがいい」のだ。高収益かつ低コストで、唯一無二のポジションを確立する“超優良企業”。キーエンスもビックリだ。

なぜ、これほどまでに特異なプレースタイルが生まれたのか――。今回の取材で、ぜひ本人に聞いてみたかったことだ。

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