もはや腎臓病は「つらくて苦しい病気」ではない→【名医が教える】ここまで変わった"腎臓復活"の新常識

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では、腎臓病の常識は、どこがどう変わったのか。「昔の古い常識」と「いまの新しい常識」をひとつひとつ見比べていきましょう。今回はとくに「運動面」と「生活面」を中心に紹介していきたいと思います。

腎臓と運動に関する新常識

古い常識……腎臓が悪い人は運動を控えたほうがいい

【新常識1】腎臓が悪い人は適度な運動を習慣にするほうがいい!

過去、たいへん長い間、腎臓病患者は「腎臓が悪いなら運動なんかしちゃダメだ」「家でおとなしくしていろ」と言われ続けてきました。

しかし、この「常識」は180度変わりました。いまは私が提唱した「腎臓リハビリ」が広く認められ、腎臓病患者に適度な運動をすすめるのがセオリーとなっています。推奨されるのは「息が切れないレベルの運動」。体を動かすほうが腎機能改善につながるという考え方は、世界中の腎臓病患者に希望と救いをもたらしたと言っていいでしょう。

古い常識……腎臓が悪い人はあまり出歩かないほうがいい
【新常識2】ウォーキングには腎機能を改善する大きな効果がある!

ウォーキングには「万能薬」と言ってもいいくらいの幅広い効果があります。腎機能改善にも大きな効果を発揮することが分かっていて、「腎臓リハビリ」でも、「腎活性ウォーキング」をプログラムの柱としています。

ところが、古い常識ではこのウォーキングすら禁じられてきたようなもの。昔の腎臓病患者は「もっとも改善効果の高いノウハウ」をずっと遠ざけられていたわけです。

古い常識……腎臓が悪い人は家で安静にしているべき
【新常識3】「安静」は腎機能を悪化させて寿命を縮める早道!

腎臓病患者だけでなく、すべての人にとって「安静」は老化や病気を進めてしまう元凶です。なぜなら、安静にしていると筋肉がてきめんに落ちてしまうから。

とくに高齢者の場合、サルコペニア(筋肉減少症)フレイル(虚弱)が進んで、寝たきりや要介護のリスクを早める可能性があります。しかも、腎臓が悪い人は普通の人よりも筋肉が落ちやすく、安静によって筋肉量が減ると、腎臓の炎症が増悪したり、腎臓の糸球体高血圧が増悪したりして腎機能の一層の低下を招いてしまうことが多いのです。

ところが、少し前まで「腎臓が悪いなら家で安静にしていなさい」という医療指導が実際に行われていたのです。これは、腎機能を悪化させて寿命を縮めるための指導をしているようなもので、いまの医療常識からすれば到底考えられません。

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