「日本でも…」難治てんかん患者・家族が期待する"大麻由来成分CBD入り医薬品"アメリカで承認――サプリではすでに流通も、薬には「高い壁」が

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必要な医薬品を使えない患者がいる一方で、大麻の不正所持による検挙者は2010年代半ばから増え始め、2020年には5000人を超えた。2023年は6703人と過去最高となり、覚せい剤を抜いた(厚生労働省発表)。2020年以降、検挙者は30歳未満が約7割を占め、若年層での大麻乱用が深刻な問題となっている。

「当時の法律では、大麻の所持・譲渡・譲受は規制されているが、使用に関しては禁止規定や罰則がなく、それが乱用のハードルを下げているのではないかという意見があった」と舩田さんは指摘する。

「海外で認められた医薬品を国内でも利用したいという流れと、乱用をしっかり取り締まるべきという流れがタイミング的に一致したことで、法改正の議論が始まった」(舩田さん)

その結果、2023年に大麻取締法が改正され、大麻から製造された医薬品の使用等を禁止する規定の部分が削除。同時に、麻薬及び向精神薬取締法(麻向法)で大麻(成熟した茎・種子を除く大麻草、または大麻草の形状を有するものとTHCを含有するもの)を「麻薬」と位置付け、一定の規制のもとで製造や使用ができるようになった。

他方、CBDは麻薬に指定されず、単独の製品であれば通常の医薬品として使用が可能となった。

誤解を招く「大麻解禁」説

世の中では、この法改正をもって「大麻解禁」と受け止める向きもあるが、それは誤解を招く話だ。

「現時点では、大麻自体の使用を広げていくのではなく、大麻由来の成分を医薬品として使用することができるようになった、ということ。それ以外の不正使用は、麻向法できちんと取り締まる。両者をしっかり区別することがポイントです」と舩田さんは強調する。

ドラベ症候群患者家族会の黒岩さんもこう訴える。

「私たちがCBD含有医薬品を求めているのは、大麻由来だからではなく、臨床試験で有効性・安全性が認められ、アメリカのFDAが承認していたからです。ほかにも国内未承認薬の早期承認を要望してきましたが、基本的には、同じように考えています」

大麻を規制しつつ、CBD含有医薬品を世に出す条件は整った。あとは既存の医薬品開発の仕組みに沿って規制当局の審査を受け、医療用医薬品として製造販売承認を得るだけだ。そのためには、臨床試験で有効性・安全性を確認し、企業がデータをもとに承認申請する必要がある。

アメリカなどでCBD含有医薬品を製造販売するジャズファーマシューティカルズは、9月に新薬開発状況を更新したが、日本でCBD含有医薬品は承認申請まで進んでおらず、その前の臨床試験段階とされている。

仮に日本でCBD含有医薬品が承認された場合、どのような枠組みで使用することになるのか。

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