「日本でも…」難治てんかん患者・家族が期待する"大麻由来成分CBD入り医薬品"アメリカで承認――サプリではすでに流通も、薬には「高い壁」が

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こう話すのは、湘南医療大学薬学部教授で、国内外の薬物規制に詳しい舩田正彦さんだ。ちなみに、この抗てんかん薬はヨーロッパなどでも使用が認められた。

アサ科の植物である大麻草には、100を超える成分が含まれていて、その代表がテトラヒドロカンナビノール(THC)とCBDだ。前者は高揚感や陶酔感、衝動性、幻覚などを引き起こし、依存性がある一方、後者はこのような精神作用がなく、依存のリスクも極めて低い。新浪氏が購入したサプリメントに含まれていたとされる大麻の有害成分が、THCだ。

FDAが認めたCBD含有医薬品の投与対象の1つが、「ドラベ症候群」という疾患だ。難病情報センターによると、日本に3000人程度の患者がいる。

ドラベ症候群は1歳までに発症し、全身のけいれんや歩行時のふらつき、言葉の遅れなどが表れる。けいれんは1日に何度も繰り返し起こり、発作が5分以上続くことも。脳に障害が及んで、発達に遅れが出ることもある。

発作は発熱時、入浴中・入浴後、あるいは疲れたときや興奮したときに起こりやすいものの、いつ発作が起こるのかわからない。本人や家族の不安感も大きいうえ、発作時の対応も必要で、身体的な負担も少なくない。

患者会が厚生労働大臣に要望書

現在、ドラベ症候群の患者に使える抗てんかん薬は約10種類あるが、どれも効果は十分とは言い難い。そのため、1~2剤では発作を防ぎきれず、どうしても薬の数が増えてしまう。

ドラベ症候群患者家族会の会長・黒岩ルビーさんは、「昨年4月のアンケートでは、回答した会員145人の半数以上が、4種類以上を服薬していました。それでも、平均して年に数十回の発作を起こしているのが現状です」と打ち明ける。

そうしたなかで知った、アメリカで承認されたCBD含有医薬品。

「日本でも、同じように使いたい」という声が会員から多く上がったが、当時は大麻取締法の規制により、大麻から製造された医薬品を投与・服用(法的には施用)することはできなかった。

そこで、同会は日本てんかん学会などと連名で、法律の見直しと医薬品の早期承認に関する要望書を根本匠厚生労働大臣(当時)に提出した。既存の薬を複数組み合わせても効果が乏しい患者に使うことができれば、発作回数を減らせるかもしれない――そんな期待からだ。

薬学専門家の舩田さん(前出)も、「効き目には個人差はあるでしょうが、治療の選択肢が増えることが重要です」と話す。

次ページ法改正が行われた背景
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事