【あんぱん最終回】「涙が止まらない」「とてもいいお話でした」と絶賛の声多数も…最後まで「ヒロインが好きになれない」人がいた根本理由

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ただ、幼なじみにしたことで、のぶは嵩に絵を描くきっかけを与え、長年彼を支え続ける“運命の相手”にすることができました。

また、戦時中ののぶを「愛国の鑑」として描き、嵩の戦地でのシーンもしっかり描いたことで、のちに逆転しない正義を求めることをライフワークのように共有。それが、のぶを「アンパンマン」の誕生からアニメのヒットを支えた立役者として描くことにつながっていきました。

その脚色によってドラマティックな物語になった一方で、「アンパンマン」などの作品名をそのまま使いながらも、史実から大きく離れてしまったことも事実です。

特に「アンパンマン」を2人で生み出したというムードを前面に押し出したところに違和感を覚える人が少なくありませんでした。

あんぱん
「アンパンマン」のヒットのため、献身的に活動するのぶが描かれました(画像:NHK「あんぱん」公式サイトより)

「やなせさんの人生」を知りたいニーズ

その違和感の理由は、多くの日本人が知る偉人でありながら、あまりその人生を知られていない「やなせたかしさんの物語をもっと見たい」というニーズに応え切れなかったからでしょう。

実際ネット上には「アンパンマン」に限らず、他の作品が生まれていく過程をもっと見たいというニュアンスの声がつねに書き込まれていました。

制作サイドがその代わりに描いたのは、のぶと妹の蘭子(河合優実)、メイコ(原菜乃華)を加えた三姉妹。さらに、のぶの母・羽多子(江口のりこ)に、嵩の生みの母・柳井登美子(松嶋菜々子)、育ての母・柳井千代子(戸田菜穂)を加えた三母の物語です。

あんぱん
松嶋菜々子や江口のりこといった実力派女優が脇を固めました(画像:NHK「あんぱん」公式サイトより)

三姉妹と三母の物語をふんだんに盛り込むことで、それを楽しめた人にとって「あんぱん」は面白いドラマとなり、「やなせたかしさんの物語を見たい」と思っていた人にとって不満の残るドラマとなった感がありました。

そもそものはじまりは、NHKの制作サイドが脚本家・中園ミホさんに女性のヒロインを前提にしたオファーを出したこと。

過去の朝ドラでも「ゲゲゲの女房」しかり、「まんぷく」しかり、偉人の妻が主人公の物語は朝ドラらしいとも言えますが、今回のような「見たかったものと違う」という視聴者が生まれやすいところは否めないでしょう。

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