「大多数がいいっていうものがいいわけない」 "一般ウケは狙わない"? オダギリジョーが異作『オリバーな犬』を現代に生み出した意味
謎が多いというのは最近、流行りの考察向けの作品ともいえるが、それともちょっと違う。いわゆる、フラグや伏線を親切に提示していないから、考察の拠り所が見つかりにくいのだ。
本来は霧の中から手探りで自分なりにヒントを探して、自分なりの地図を作っていくことが作品の理想的な鑑賞スタイルではないかと筆者なんかは思うが、スマホのナビで目的地にたどり着く時代ならではの作品鑑賞の形が存在することを否定はできない。
ただ、それだけではないものを作り続ける人もいまこそ必要だ。そこにオダギリジョーである。
朝ドラファン必見の「オダギリ×深津絵里」
劇場版『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』はドラマの世界観を引き継ぎつつ、ますますシュールな世界へと突入していく。キャッチコピーは「世の中には不思議があふれている」で、理屈ではとらえきれない不思議なことが次々と起こる。
狭間県警鑑識課警察犬係のハンドラー・青葉一平や鑑識課メンバーの前に、隣の如月県のカリスマハンドラー羽衣弥生(深津絵里)が現れた。
如月県でスーパーボランティアのコニシさん(佐藤浩市)が行方不明になったため、一平とオリバーに捜査協力を求めてきた。「コニシさんが海に消えていくのを見た」という目撃情報を基に、一平とオリバー、羽衣はコニシさんのリヤカーが残されていた海辺のホテルに向かう。

海の中に屹立する謎の赤い扉。それは時空を超えた世界につながっていて……。
ダークファンタジーとうたっているし、オダギリジョーの主戦場の映画だから、いかにも映画のルックでくるかと思ったら、テレビスケールみたいなところもあって。そのへんの使い分けも狙っているのだろうと思う。
行方不明になったスーパーボランティア・コニシさん(佐藤浩市)や、元ルドルフのハンドラーでいまはフリーランスの記者・溝口(永瀬正敏)の出番が増えたことで、映画として引き締まる。
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