「大多数がいいっていうものがいいわけない」 "一般ウケは狙わない"? オダギリジョーが異作『オリバーな犬』を現代に生み出した意味
これは2021年にNHKで放送された連続ドラマ『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』の続編である。
連続ドラマからしてぶっ飛んでいた。大多数に背を向けた孤高の作品の発表の場は民放の深夜枠でも、配信でもなく、NHK、それもBSではなく総合だった。
公共放送は大多数の最たるもの。つねに極端に偏らず、みんなの意見を鑑みているのがNHKだ。それが極北も極北のドラマを放送した。
まあ、NHKは偏らないのが信条である、「NHKをぶっ壊せ」と叫ぶNHK党の政見放送も流すくらいだから、『オリバーな犬』を放送することもあながち間違ってはいない。
『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』。タイトルからして奇妙なドラマは2021年、NHK総合で「ドラマ10」枠で放送され、翌年、シーズン2も放送された。脚本・演出・編集をオダギリジョーが担当し、主人公・青葉一平(池松壮亮)の相棒である警察犬・オリバーも演じた。

警察犬を演じるとはどういうことか。着ぐるみで演じたのだ。それはなんとも珍妙だった。しかも着ぐるみの犬は青葉の目には酒と煙草と女好きの欲望にまみれ、やさぐれた中年のおじさんに見えるのだ。
伝説の名犬・ルドルフの子どもといわれるオリバーは、青葉以外の人たちからは優秀な犬に見えている。だが、オリバーは人間たちに対して不遜な態度をとっていることが、青葉にしかわからない。
奇妙なシチュエーションの中で、青葉とオリバーは連続殺人事件や国際的な陰謀などを解決していく。

あまりにも豪華な出演陣
ベースは事件ものだが、オリバーの存在をはじめとして、極めてシュールで実験的な色合いの濃い表現が随所にあり、見る人を選ぶドラマだった。
映像と音楽の使い方がシャレていて(音楽はEGO-WRAPPIN')、逆にふだんテレビドラマを見ない人が食いついた。また、「東京ドラマアウォード」では単発ドラマ部門作品賞グランプリ受賞、ギャラクシー賞月間賞受賞と評価も高かった。
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