50代で初ひとり旅――「どこで何を食べてもおいしい」 彼女が魅了された"2つの国" 有元葉子さんの旅の記憶

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イタリアへは、行くと長く滞在して、ウンブリアやフィレンツェを拠点にし、あちらこちらをまわる旅です。一方、ベトナムは日本から飛行機で6時間程度で行ける気軽さから、1年に4回、5回……しょっちゅう行っていました。

娘たちを連れて行ったり、「料理がすごくおいしいのよ」と話せば、「行きたい!」「次はいつですか、ご一緒したいです」とおっしゃる方がたくさんいて、ベトナムへはいつでもツアー状態でした。

さて、日本のわが家の台所では、うまく作れなかったバインセオ。どうしても現地の味を再現したくて、何回めかのベトナム旅行へ、私はビデオを持っていきました。作っているところを録画しようというわけです。

バインセオがうまくできなかった理由

ビデオで撮影をしながら様子を見ていて、あっ、と気づきました。ベトナムはお米の国だから、粉は小麦粉ではなく米粉を使っているのだろうと思って、日本でも私は米粉で作っていました。でも、そもそも米粉がベトナムのものと日本のものとでは違うのです。そのことに気がつきました。

ベトナムのさっぱりとした長粒米と、日本のもっちりとしたお米は食感がまるで違うのだから、米粉も食感が違うはずです。長粒米の米粉にココナッツミルクと、黄色い香辛料のターメリックを混ぜてしばらくねかせておき、それを油でゆっくり焼くと、あのパリパリの皮ができるんだ!

真実を突き止めた私はもちろん、ホーチミンの市場で米粉を買って帰りました。そして日本で作ってみると見事に成功。パリッとした食感にできました。諦めないタイプ……なのかしら。こと食べものに関してはそうかもしれないですね。

ベトナムで食べたおいしいものを挙げていったら、本当に時間がいくらあっても足りません。

丸ごとの大きな魚を唐揚げにして、ひらひらとまるで泳いでいるように立てて盛りつけた料理とは、南部を旅したときに出会いました。ホーチミンから車で2時間ほど南西へ進んだミトーという街。

レストランに入り、隣の人たち(地元の人)が食べているのを見て「わあ、あれを試してみたいわね!」と一同で盛り上がって。運ばれてきたお料理は、泳いでいるような魚の下にせりやスターフルーツやレモングラスが敷いてあります。見たこともない、味の想像もつかないお料理で、すごく刺激的。

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