子どもを対象にした学外の理科教室でも、小山さんはクレーンゲームを活用している。電磁石を応用してクレーンゲームのアームを動かすメカ部を手作りする親子理科教室は人気の企画だ。

それ以外にも、小学生の女子限定の親子プログラミング教室を開催している。なぜ女子限定なのだろうか。
「物理学の道に進む女子が圧倒的に少ないからです。特に鹿児島県は、理系に進む女子が少なく、その多くが医療系を選ぶと言われています。小学生対象の理科教室をすると参加者は男女半々なのに、です。『女の子が物理学を学んで何になるのか』『理系に行くなら看護師がいいんじゃない?』と言う周りの大人の影響があるんじゃないかと思っています」

ただ、小山さんは理数系に興味のない子を無理やり集めて物理好きにしたいわけではない。
「物理学が好きな女の子がいたら、その芽を摘まないで伸ばしてあげてほしいですね。『物理学は実生活でも使える楽しいもの』という思い出ができれば、親の固定観念も変わるかもしれないと期待しています。嫌いなことを克服するより、好きなことを伸ばすほうが幸せなんじゃないでしょうか」
過去には“物理がおもしろくなくなった”時期も
そう思うのは、小山さん自身が好きなことを伸ばしてきたからだ。小山さんは小学校のころから理科が好きで、中学3年生のときにはこつこつとデータを集め、天文学の自由研究で県知事賞を受賞した経験がある。しかし、高校時代には物理で一度「挫折」した。
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