小山さんの関心はクレーンゲームの機械そのものにも向かった。アームを動かすメカ部をインターネットオークションなどで購入して分解。「ばね」や「電磁石」が使われていることを確認し、小山さんは興奮した。
「中学レベルの物理でクレーンゲームの仕組みは説明できるんですよ」

全国の子どもたちから質問も
それらの成果は、2024年4月に『クレーンゲームで学ぶ物理学』(集英社インターナショナル)としてまとまった。図解を多用したり、NHKのテレビ番組「プロジェクトX」のナレーション風に説明するパートを設けたりと、小山さんの「何とか物理学の面白さを届けたい」という思いが伝わってくる。その思いが通じたのか、全国の子どもたちからクレーンゲームや書籍の内容に関する質問が寄せられるようになった。小山さんはその一つひとつに丁寧に対応している。
出版後は「マツコの知らない世界」「THE神業チャレンジ」「ナニコレ珍百景」などテレビ番組への出演も急増している。娘のために始めたクレーンゲームの物理学的追究がこれほど広がるとは予想外だったが、小山さんは反響を喜んでいる。
「クレーンゲームの研究は、おそらく誰もやっていない未知のことです。その成果をまとめて本を出したり、テレビで話したりすることは、僕にとっては新しい研究に取り組むのと同じことです。だから、全力でやっています」
せっかく研究室にお邪魔したからには、物理が大の苦手だった筆者も景品ゲットの方法を知りたい。小山さんに攻略法の一端を教えてもらった。
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