こうして、小山さんはラムちゃんをゲット。その後も好きなキャラクターのぬいぐるみが取れそうな位置にあるとプレイするようになった。卒業研究の合間のいい気分転換になったという。

「2人の娘のために」クレーンゲームに物理学を応用
2回目のマイブームは2006年。上の娘2人を連れてゲームセンターに行ったところ、プリキュアのぬいぐるみを取ってほしいとせがまれた。どうすれば2個取れるかと考え、思いついたのが物理学の応用だった。
「物理学を使えば、少しでも効率よく景品をゲットできるんじゃないかと。この頃から研究ノートを付けるようになりました」

お金を出してぬいぐるみを買うのは簡単だ。しかし、それをしなかったのは、クレーンゲームを囲んで過ごす子どもたちとの時間が好きだったから、と小山さんは振り返る。
「今でもゲームセンターで小さい子どもを見ると思い出すんです。クレーンゲームを見上げてぬいぐるみを欲しがる子どもの表情や子どもたちが『がんばれ』と応援してくれる声……。あの時間が好きで、お金を投じていたような気がします」
現在も続く3回目のマイブームが訪れたのは2022年。出版社の編集者から「クレーンゲームと物理学についての本を書いてほしい」と依頼されたのがきっかけだった。クレーンゲームと物理学の本を出すなら、最新のゲーム機もプレイしてその知見を盛り込みたい──。そう考えた小山さんは再びゲーセン通いを始めた。
「しばらくは毎晩のようにゲームセンターに行っていました。ただ、毎日プレイしていたわけではないんです。他の人のプレイを観察するだけの日も多かったですね」
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