専門医が教える「咳が止まらない」ときの対処法:エアコンや柔軟剤のにおいがきっかけ、咳き込んだら止まらない…今注目される「咳過敏症」とは?

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“長引く咳”といっても、四六時中咳が出ているケースは少ない。多くは普段は何ともなく、何かのきっかけで強く咳き込むという状態を繰り返すパターンだ。

滋賀県長浜市でのながはまコホート(2008~2010年に、滋賀県長浜市の30~75歳の住民9804人対象とした住民調査)では、慢性咳嗽で悩む人の多くが「夜間・早朝」「スギ花粉シーズン」「天候の変化」などに悪化すると回答した。

きっかけは風邪(75.6%)、たばこの煙や香水の香り(31.5%)、冷気(23.3%)、カビの臭いや湿気(13.9%)、運動(14%)などだった。

長引く咳症状は生活を大きく乱す。

夜間に咳が強くなり睡眠が妨げられ、日中は集中力を欠き、仕事や家事、学習の効率が下がる。海外のデータでは、慢性咳嗽患者の仕事のパフォーマンスが平均で3割も低下していたという。

電車やバスの中で急に激しく咳き込んでしまった経験があると、周囲の視線が気になり、外出を控えるようになる人もいる。

咳が止まらず、車の運転が困難になってしまう人もいるという。女性で問題となりやすいのは、咳による尿もれだ。重症になると肋骨を折ったり、強い咳で意識を失ったりする場合もある。

「長引く咳によって、本来できることや日常の活動に大きな制限が生じてしまう人も少なくありません。体への負担だけでなく、社会生活や心の健康にも影響します。生活の質を大きく下げてしまうのです」(松本医師)

その咳、もしかしたら「咳過敏症」?

ところで、慢性咳嗽の原因の1つとして注目されるようになったのが、「咳過敏症症候群(CHS)」(以下、咳過敏症)だ。

咳過敏症の特徴は、冷気や柔軟剤のにおい、たばこの煙、会話や笑いなど、ささいな刺激で咳が誘発される点にある。患者は咳き込んでいないときでも常に「のどの乾燥やイガイガ感」「咳の衝動に駆られている」と訴えることが多い。“隠れ慢性咳嗽”とも称される。

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