野性味あふれる味わいはまるでジビエ! "幻の中の幻"であり"食べられる天然記念物"、「見島牛」に秘められた《離島の奇跡》

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
見島牛
山口県の沖合45kmの孤島に生息する、純粋な日本古来の在来種「見島牛」(写真:KIKO/PIXTA)
文化財保護法で「動物、植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもののうち、重要なもの」とされているのが「天然記念物」です。したがって、食べるなんてもってのほか、と思うのは自然なことかもしれません。
しかし、中国地方の離島では、実は「食べられる天然記念物」が存在しているのです。その歴史と、気になる味について、焼肉作家・小関尚紀さんの新著『知ればもっと美味しくなる! 大人の「牛肉」教養』から一部抜粋・再編集してお届けします。

「牛の形をした島」に生きる幻の牛

日本に古くから伝わり、西洋種の影響をまったく受けていない純粋な日本古来の在来種の血統は、じつは「見島(みしま)牛」と「口之島(くちのしま)牛」のたった2種類しかありません。

本稿でご紹介する「見島牛」はそのうちの一つで、国の宝として「天然記念物」に指定されるほど希少な存在です。しかも驚くべきことに、「見島牛」は食肉としての生産と流通が認められているのです。

見島牛が暮らすのは、山口県萩市沖から北西へ約45km進んだところに位置する、あるユニークな形の島。その島を上空から見てみると……。まるで巨大な牛が横たわっているかのような形をしているではありませんか! 

北側が顔で小さな角があり、東側に前脚、そして南側には堂々とした後躯(こうく)が広がっています。まさに「牛の形をした島」で、この島の名前こそが「見島」です。

古くから大陸との交易で栄えていたここ見島では、山の斜面に棚田を作り、稲作を営んできました。その農耕の役牛として、長きにわたり活躍してきたのが「見島牛」なのです。

次ページ西洋種との交配を免れた「離島の奇跡」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事