「部下育成キャンセル界隈」の上司が抱く3つの誤解 「仕事が山積み」「時間がない」は言い訳?
第2の誤解は、実務スキルを上司が教えなければならない、と考えることだ。職人技でない限り、実務スキルの大半は体系的な学習で身につく。上司の指導で身につけるものではない。
私はもともとシステムエンジニアだった。当然、システム設計や開発をするには、最低限のシステム開発やプログラミングの技術を習得しなければならない。
ただし、それらの技術は専門の学校や社内研修で体系的に学ぶわけであり、上司が教えるわけではない。税務や会計の知識も同様である。当社には税理士や会計士が多く在籍するが、それらを教えるのは、上司ではない。
うまく指導できなくて当たり前
上司が教えられるのは、ちょっとした知恵や心がけ、経験に基づくコツ程度である。いわゆる「薫陶」と呼ばれるものだ。
したがって、どうやって仕事のダンドリをつけるのか、どのような提案書を作ればお客様を惹きつけられるのか、どんなコミュニケーションをするとアポイントがとりやすいのか……。
こういったことも、上司が教えることではない。上司は決して教えるプロではないからだ。教えるための知識や技術を体系的に学んだ経験がない限り、うまく指導できなくて当たり前である。
部下の知識や技術が物足りないとき、上司が責任を感じるケースがある。それは勘違いだ。上司が部下に「全部教えなければ」と思い込むから、負担になるのだ。
外部の専門家や、昔と違ってオンライン上にも多くの教材が存在するのだから、それらをしっかり活用して、責任もって学んでもらうことだ。なぜなら、それは部下自身の「課題」だからである。
第3の誤解は、最も深刻である。上司は部下よりも知識があるべきだと思い込むことだ。これは大いなる勘違いと言えよう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら