「部下育成キャンセル界隈」の上司が抱く3つの誤解 「仕事が山積み」「時間がない」は言い訳?
「罰ゲーム化する管理職」というフレーズが広く使われるようになった現在、若者たちは「出世なんてしたくない」「管理職はムリ」とためらうことなく公言する。だからよけいに、
「部下育成なんて、やってられない」
と思う上司の気持ちも、わからないでもない。しかし、誤解している上司が多いことも事実だ。そもそも部下育成を正しく理解していない上司が多すぎるのである。それでは、どのような誤解か? 私は次の3つだと捉えている。
(2)スキルは上司が教えるもの
(3)上司は部下より知識があるべき
それでは、一つ一つ解説していこう。
1つ目の誤解は、部下が育たないのは上司の責任だと思い込むことだ。
これはベストセラー『嫌われる勇気』で紹介されたアドラー心理学の「課題の分離」を理解していない。部下が成長するかどうかは、本人の課題であって上司の課題ではない。
上司ができるのは“サポート”
子どもの成績で考えてみよう。
成績が上がらないのは子ども自身の問題である。もちろん先生や親のサポートは必要だが、本人が勉強する気がなければ意味がない。
同じように、部下の成長も本人次第だ。上司ができるのはサポートであり、成長の責任まで背負い込む必要はない。
コーチングの世界には「コーチャビリティ(コーチされる能力)」という言葉がある。どんなに優れたコーチであろうが、コーチングを受けるクライアントの「コーチャビリティ」が低ければ、コーチングは役に立たない。
それとも同じで、ティーチングするにも「ティーチャビリティ(教えられる能力)」が不可欠だ。学習する気力や姿勢が物足りないなら、成長するはずはなく、それは本人の課題だ。もし上司がそれを知らず、
「部下が育たないのは、自分のせいだ」
そう思い込んでいたら、疲れ果てるのは当然である。まずは本人に責任があることを、上司自身が認識し、部下にも啓蒙させることが重要だ。
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