「なぜ責めてしまったのか…」「死んで父に謝りたい」特殊詐欺の被害にあった父が自死…遺族が抱き続ける深い後悔
「虐待や貧困、不健康、両親不在など様々な要因で孤立する。社会の歪みのなかで多感な時期を過ごしている。
出た後にまっとうな仕事に就けても、あいつは少年院上がりだと告げ口されたりして、すぐクビにされることもある。そのときのために、特殊詐欺グループとつながりを絶たない」
つまり、特殊詐欺は「仕事」にも、何かあったときの「福祉」にもなりえてしまっている。
「詐欺師たちは加害者も被害者も孤立している人を見つけるのが本当にうまい」
自己責任の横行する社会に問題があるのではないか

特殊詐欺の末端でも、警察は厳しく摘発する。裁判になれば初犯であっても執行猶予がつけられず、実刑になることも少なくない。
「警察は詐欺の犯罪者を取り締まるという方法論に躍起になってますよね」
ただ、根本的な問題解決はそこなのか、と篠原さんは言葉を続ける。
「なぜこうした問題がなくならないのか。経済的貧困というだけでは片付けられない背景があって、そのひとつが高齢者の孤立だし、騙された人の自己責任で片付ける社会構造だ。
騙された人は必ず『私は騙されないと思っていた』と言う。誰もが騙される可能性があるということだ。
なのに、騙された人が責められる。人が孤立する社会構造をつくった連帯責任ですよ」
篠原さんは特殊詐欺に関与した少年たちにはボランティアの参加をすすめている。
「誰か手をのばしてくれる人がそこにはいる可能性が高いから」
もし最近連絡が取れていない家族がいたら、なんでもいいから声をかけてみてはどうか。

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