低価格路線のサイゼリヤは客数を増やしているが…外食を利用する消費者の財布が限界を超えつつある過酷な現実
逆にマイナス推移が続くのは、このところ長く前年割れが続くカッパクリエイト(かっぱ寿司)、値上げによる割高感がニュースにもなった壱番屋(ココイチ)、異物混入問題が発覚して以降落ち込みが続く冒頭のゼンショー(すき家など)などである。
また意外なところでは、これまで値上げの影響をほとんど受けないと言われてきた強力銘柄である王将フードサービス(餃子の王将)が、今年の値上げ後は客数がやや減少となり、これもニュースになっていた。
これらの店だけを見て傾向があるとは言えないが、できるだけ値上げをせずに頑張っている企業、絶対価格で安い企業は客足が良く、一食1000円超に最近突入した印象の業態の客足が鈍っているように思われる。
では、2025年がこれまでと違う動きを見せる背景は何かということになる。これは物価上昇によって実質賃金マイナスが何年も続いて蓄積してきたことで、消費者の財布が限界を超え、外食支出を控えるようになってきたからだと考えている。
実質賃金マイナスの深刻な影響
ご存じの通り、コロナ後に顕著になった物価上昇は収まることなく、賃上げがそれに追いつかない実質賃金マイナスという状態がここ何年も続いている。2024年頃からは政府主導での賃上げが始まったが、あくまでも大企業を中心とした話であって、消費者の大半を占めている中小企業勤務者にまでは行き渡っていない。
つまり今は実質賃金動向が完全に二極化しており、プラスに転じた層とマイナス幅が拡大した層に分離した状況にあるといえる。
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