低価格路線のサイゼリヤは客数を増やしているが…外食を利用する消費者の財布が限界を超えつつある過酷な現実
そうした前提だとすれば、国内事業において基本的に値上げをしないという方針を維持してきたサイゼリヤの対応は、財布が痛んだ消費者に寄り添った戦略だったということになるだろう。自社の顧客層は賃上げの恩恵が及びにくい層も多いと認識し、価格据え置きで客数を増やすことで増収を目指すという方針を選んだのだろう。
その結果、売り上げの面でもサイゼリヤの増収率は主要社中トップクラスとなっており、今期の国内サイゼリヤの業績も大幅な増収増益で着地する見込みだという。
逆境の今を逆手に取って支持者を増やすサイゼリヤ
客単価を上げて増収を実現するという考え方は王道であり、業界の常識でもある。しかし、デフレからインフレへの転換の過渡期ともいえるこの実質賃金マイナスの時代、消費者に寄り添う姿勢は、やがて企業のブランド構築にもつながるのかもしれない。
苦しい時期に価格据え置きで消費者に寄り添ったサイゼリヤの価格帯は、今や競合比で圧倒的なコストパフォーマンスを誇る。今でも出張先の駅周辺で、合間に昼食を取るとき、サイゼリヤがあると入ってしまうのだが、今でもスープ、サラダ付きランチが500~600円で複数メニュー選択可能で、十分おいしいことに毎回感心してしまう。
最近では飲み会の後、2次会でもないときに「サイゼリヤでいいじゃん」という人まで増えた気がする(実際、最近時々行っている)。外食逆境の今を逆手に取って支持者を増やすサイゼリヤには感心しきりである。
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