ネット配信業者が日本アニメに注目するワケ ネット配信が変える映像コンテンツビジネス

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日本は放送局主体でMIP出展の歴史が長く、一時は日本の子供向けアニメがたくさん売れたこともあって、それぞれの出展者が独自の存在感を築いてきた。中国や韓国など、国を挙げて自国コンテンツをプロモートしている国が独自に大きなブースを構えてバイヤーの目を引いているが、大手キー局クラスはどこも日本パビリオンといったまとめ方をしなくとも十分に耳目を集めるだけの実力がある。

MIP主催者側も日本パビリオンにはあまり積極的ではなかったようだが、結論から言えばなかなか盛況だった模様だ。確かに在京在阪キー局は独自ブースを構えているが、地方局やCATV局が制作したコンテンツやフォーマットは、こうした機会がなければなかなか売り込むチャンスがない。

ネット配信企業が増えていること、日本コンテンツに対する長年の信頼感も手伝って商談は進んだといいう。TBSの「SASUKE」や日本テレビの「マネーの虎」、フジテレビの「脳かべ(みなさんのおかげでしたの1コーナー)」など、日本よりもグローバルの方がよく知られているコンテンツがあることもプラス材料だろう。

日本制作のドラマにも注目集まる

具体的な”販売成果”となると、今後を見すえるしかないが、1年前に取材した時に聞かれた声に比べると、ずっと前向きな印象を持った。

海外コンテンツに目を向けると、MIPCOMのプレミアナイトでもっとも大きくフィーチャーされた「Xファイル」リブート版をはじめ、リメイクドラマに注目が集まったのも、ネット配信業者の影響が大きいかもしれない。

「天皇の料理番」は高い評価を受けた

ネットフリックスなど資金力のある配信業者が、コミックや過去にヒットしたドラマシリーズのリブートを次々に出していることも、テレビ局側のドラマ制作熱が高まっている理由だろう。

日本制作のドラマも、MIPCOMでは民放連が主催するJ-Creative AWARDが公式日程に組み込まれていることもあり、それなりに注目度はある。今年のグランプリはTBS「天皇の料理番」。あるフランス人審査員は「過去に見たどんなドラマより好き」と激賞されていたが、しかし、やはり俳優の人種や文化的壁はあり、アジアはともかく西欧へのセールスは限定的のようだ。

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