ネット配信業者が日本アニメに注目するワケ ネット配信が変える映像コンテンツビジネス
残念ながら日本はサービス区域から外れているが(言語の違いに加え、すでに4K放送の競合が多いためだろう)、欧州や北米、アジア、南米、アフリカなど、ほとんどの地域をカバーできる衛星放送業者と契約している。前述の”6000万世帯”という数字は、それら契約している衛星放送の契約者を合計したものだ。
ここまでの大きな規模ではない事業者も、ネット配信サービスは競争激化で4K対応が今後も進むだろう。なぜなら2017年には、欧州でも4K放送が次のフェーズへと進むからだ。それまでの間にネット配信業者は先んじて新技術に移行し、契約者の耳目を集めたいからだ。
来年にはBSで新しい4Kの試験放送
欧州の4K放送は2017年から”フェーズ2”に移行する。現在行われている”フェーズ1”試験放送は、毎秒50フレームの映像を4K解像度で放送しているだけだが、フェーズ2ではフレームレートが毎秒100あるいは120フレームまで引き上げ、色再現域をRec.2020というより深い色が表現できる規格に変更。10ビット色深度とHDRにも対応する。4K放送はこのフェーズ2から本格化するだろう。
当然、日本でも4K放送が次の段階に進む際にはHDRが取り込まれることになる。すでにARIB(電波産業会)でもHDRに関連する規格が承認されており、来年はじまるBS衛星を用いた新しい4Kの試験放送では、HDRでの試験放送も行われるのではないかと予想されている。
グローバル市場全体を見渡すと、北米市場はネット配信中心に新技術へのシフトが進み、日本や欧州などそれ以外の地域は、ネット配信が4K/HDR市場の下地を作り、放送技術の切り替わりタイミンで視聴機会が増加するといったタイミングで、先端映像を楽しめる環境が変化していくだろう。
すでにテレビメーカーは製品の差異化点としてHDR表示性能に焦点を当て始めており、4K解像度への対応はもちろん、HDR映像をいかに美しく表示するのか。ソニー、パナソニック、東芝、シャープなど、主要なテレビメーカーすべてが開発投資を行っている。HDRに対応する新しいブルーレイディスク規格も決まった。
しばらくはテレビ受像機側も、HDR対応で競い合いながら技術開発と販売両面で競うことになる。そうした意味では、フルHD化が終わってから長らく画質差を訴求しにくくなっていたテレビの画質に、ふたたびスポットライトが当たるひとつの機会となるかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら