ネット配信業者が日本アニメに注目するワケ ネット配信が変える映像コンテンツビジネス

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こうした気象状況そのものが未経験とのことで、街のインフラ全体が増水に対して無防備で、光回線化されていない部分の多くが通信不能になっていたように見えた。しかし、それも4日までの事で、翌日からはいつものコートダジュールに。

何ごともなかったようにコンテンツ取引が始まったが、MIPTV(春開催)/MIPCOM(秋開催)は、まだ通算で出席3回目の筆者にもわかる違いがあった。ひとつは4KあるいはHDR(ハイダイナミックレンジ)といった新しい映像トレンドに向けた映像作品が、単なる”ショーケース”から実際のビジネスとしてフライし始めていたこと。もうひとつは、”テレビ放送コンテンツ取引=MIP”という構図が変化し、インターネット配信業者による映像作品の買い付け案件が、大幅に増えはじめていることだった。

たとえば洪水の影響があったにもかかわらず、MIPCOM 2015には108カ国から約1万4000人の参加者が集まった。このうちテレビ番組の映像買い付け担当者は4800人。これに対してネット配信事業向けの買い付け担当者も1600人参加している。

ネット配信用コンテンツ取引の増加は、過去作品を含めたライブラリ映像の流通、そして4K/HDRに代表されるようなトップエッジの映像作品流通、両面において、ビジネス構造の大きな変化を示唆しているかもしれない。

”枠のない”放送、ネット配信がもたらす変化

昨年のレポートでは、本来は売れ筋だった”良質な子ども向けアニメ番組”が生まれない構造になってしまったことで、海外で売れるアニメが減ってきたこと、キャッシュフローの低下で新しい人材が集まりにくくなりクリエイターがゲームなど他分野に流れていること、出演者の人種面などの制約から俳優など出演者が多いドラマ、バラエティなどはそのままではアジア以外には売れず、番組企画を売るフォーマット販売に力点が移っていることなどを関係者の取材から伝えた。

しかし実は、アニメコンテンツの引き合いがこのところ多くなっているという。理由は映像をネット配信する業者が増えていることだ。一国の市場が大きい米国の場合、ここはすでにいくつもの巨人が覇を争う市場になっているが、欧州など異なる文化の国が多数集まる地域では、多種多様なネット配信業者が生まれている。

北米でもNETFLIXのような巨人だけでニーズをカバーできているわけではない。日系コンテンツ事業者のViz Mediaは放送枠を確保するのではなく、ファン向けに専門配信サービスを持っているし、メジャースポーツ団体が独自に映像配信サービスを提供している場合もある。

インターネットは(今回の洪水などでネットワークが崩壊しているように)災害への弱さなど脆弱さもあるが、一方で放送免許が不要なことや、クラウドコンピューティングの普及でシステムに必要な資源を確保しやすくなったこともあり、アイディアやコンテンツの仕入れルート、コンシューマとの接点などで特徴が出せれば参入障壁は低い。

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