実は「国引き神話」からも読み取れる…弥生時代の【出雲】が繁栄を誇った"地政学的"要因とは

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古代日本で出雲が繁栄を遂げた理由を解説します(写真:kazukiatuko/PIXTA)
今年1月の統計で推計人口が64万人を割り込み、47都道府県で2番目に人口の少ない県となっている島根県ですが、古代史を専門とする駒澤大学名誉教授の瀧音能之氏によれば、実は弥生時代の出雲は日本有数の勢力を誇る地域だったといいます。
現代の私たちには「神話の国」としてのイメージが強い出雲地方が、どのようにして文化的・経済的な繁栄を誇るに至ったのか。一般にはあまり知られていない背景について、瀧音氏の著書『発掘された日本神話 最新考古学が解き明かす古事記と日本書紀』から一部を抜粋・編集する形で解説します。

縄文時代以降に急拡大した平野

弥生時代に出雲がなぜ日本有数の勢力を持つようになったのか。その起源を見てみよう。

もともと島だった島根半島は縄文時代以降、三瓶山の度重なる噴火による噴出物や土石流によって本州と島の間に土砂が堆積し、陸続きになった。縄文時代後期以降、それまで湾だった宍道湖一帯は徐々に平野化していった。

人々が暮らしやすい微高地と稲作に適した低湿地を兼ね備え、さらに北からの風を島根半島が遮ることで風水害が少ない。出雲は人々が暮らすのに理想的な風土を持った地となったのである。

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