日本の「食」と「零細企業」は外国人労働者が支えている 「犯罪抑制か、零細企業の存続か」トレードオフの現実

「治安を守るため、外国人労働者の規制強化を」という主張は、実は「中小・零細企業の廃業を容認する」という主張と表裏一体だといいます(撮影:尾形文繁)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。
退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼の著書『給料の上げ方――日本人みんなで豊かになる』では、日本人の給料を上げるための方法が詳しく解説されている。
「いまの日本の給料は、日本人のまじめさや能力にふさわしい水準ではありません。そんな低水準の給料でもガマンして働いている、その『ガマン』によって、いまの日本経済のシステムは成り立っています。でも、そんなのは絶対におかしい」
そう語るアトキンソン氏に、これからの日本に必要なことを解説してもらう。
外国人労働者を規制すると中小・零細企業が潰れる
「外国人労働者の増加が治安を悪化させるため、受け入れを厳しく規制すべきだ」という主張があります。
一見すると、国民の安全を願う正論に聞こえるかもしれません。しかし、その主張の裏側には、ほとんど語られることのない、もう1つの厳しい現実が隠されています。
それは、その主張が「日本経済の末端を支える多くの中小・零細企業の廃業を容認する」という宣言と、ほぼ同義であることです。
どういうことか。まず、基本的な統計データから見ていきましょう。
日本の外国人労働者数は急増しており、2008年から2024年10月末までの間に、48.6万人から230.3万人へと181.7万人増加し、規模は約4.7倍に拡大しました。
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