「"自由に遊べる時間が長い園"ほど運動能力が高い」という研究結果も!保育園選びで≪習い事の充実度≫ばかり重視する人の盲点とは?
一方で、特別な運動指導の時間に、大人の指示で整列し、画一的な動きを練習するだけでは、子ども自身が主体的に動く機会は限られます。結果として、子どもが「楽しい」と感じられなければ効果は薄れ、場合によっては「苦痛な時間」となり逆効果になることさえあります。
もちろん、現在では園での運動指導等もこういった子どもの特性を研究して工夫されていると思います。が、「月に2回、運動指導の時間があります」とPRする園があったとして、その園が運動指導をPRしていない園よりも教育的に優れているとは限らないことは知っておいたほうがよいでしょう。
幼児期の学びは「遊び」から生まれる
では、幼児期に最も重要な教育とは何でしょうか。答えはシンプルで「遊び」です。
保育所保育指針や幼稚園教育要領にも、幼児教育の基本は「子どもの主体的な活動を豊かにする環境構成」にあると明記されています。乳児期に寝返りやハイハイを自ら獲得していくように、幼児期も「もっとやりたい」「もっと知りたい」という意欲が成長の原動力です。
子どもは同じ遊びを繰り返し試行錯誤することで、心身のさまざまな機能を高めていきます。その過程で達成感を味わい、獲得した力を使って次のチャレンジに進んでいきます。
大人が考えた活動を押し付けるよりも、子どもが自分のペースで取り組める環境を整えたほうが、教育的効果は大きいのです。
ここでいう「遊び」は単なる娯楽ではありません。「遊び」で出会うさまざまな現象を五感で感じ、やがて言葉で認識し、物事を豊かに理解する基礎を培います。
物の扱い方、体の動かし方、言葉で表現すること、子ども同士が自己主張をぶつけ合う瞬間にも共感する力や社会性が育ちます。学齢期以降の学びの土台となる力が複層的に育まれる時間です。
ただし、これは「放任保育でいい」という意味ではありません。
筆者はこれまで多くの園を視察してきましたが、「ここまで遊びにこだわるのか」と驚かされる園に数多く出会いました。
ある園では、玩具一つにも強いこだわりがありました。子どもの手になじむ質感や、安全性だけでなく、遊びの幅を広げるためにどのような素材や形状がよいのかを徹底的に研究していたのです。
別の園では図書環境を重視し、年齢ごとに適した絵本や図鑑を揃え、子どもが自発的に手に取れるよう工夫されていました。園庭へのこだわりも深く、土や砂、水を自由に使える環境を整え、季節ごとに子どもが自然と触れ合えるようにしている園もありました。
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