「サントリーの対応は迅速、記者会見も完璧」 しかし、新浪剛史会長の辞任だけでは解消できない《サントリーHDが抱えた"大きなリスク"》

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ひと山は無事に越えられたとはいっても、これからサントリーHDが直面する課題はいくつも想定できる。主に、以下の4点だ。

今後、サントリーHDが直面する「4つの課題」

1. 新浪氏の不祥事自体への対応
2. 新浪氏辞任後の企業経営の混乱への対応
3. 企業イメージの低下へのリスク対応
4. ステークホルダー(株主、取引先、従業員)
への説明責任

1については、企業というよりは経営者個人の不祥事であり、企業として求められる対応はさほど多くはないだろう。ただし、この事態を防げなかったのか――といった企業としての対応は問われる。

万が一、新浪氏が有罪となってしまった場合は、なおさらだ。一社員であればまだしも、経営者は企業を代表し、企業の「顔」となる存在である。「個人の問題です」という言い訳はなかなか通用しづらいところがある。

2に関してだが、経営者の不祥事の対応で難しいのが、不祥事自体への対応と、経営課題の対応を同時並行して行う必要があるという点だ。

今回の場合は、新浪氏がこれまで担ってきた海外事業の対応が特に課題になってくるだろう。

なお、サントリーHDの会長職は、新浪氏と創業者一族の佐治信忠氏の2人体制で行っている。佐治氏は現時点では辞任しないようであるから、会長職が不在になることはない。その点は救いなのだが、功績が大きい新浪氏の空白をどう埋めるのかは大きな課題になることは間違いない。

3と4に関しては、一朝一夕には解決できない問題であるように思う。サントリーグループは、飲料から始まり、食品事業を展開しておりサプリメントの販売も行っている。

そうした企業の経営トップに、サプリメントに関して違法行為を行った疑惑が浮上しているという状況は、好ましくない状況だ。

次ページたとえ新浪氏が「シロ」でも疑惑を完全に消すことは難しい
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事