TSUTAYA図書館に協業企業が呆れた理由

CCCとの公立図書館運営の協業見直しへ

――蔵書については、収蔵雑誌が大幅に削減されているという問題があります。

雑誌の収蔵で重要なのは、バックナンバーがあること。雑誌によっては、永久保存しなければならないタイトルもあり、軽々に中断してはならない。確かに中央の収蔵誌数は148誌から50誌に急減した。中央の改修休館中に、TRCが運営する有馬は収蔵誌数を増やしたが、中央の現状を踏まえ、今後も現在の収蔵誌数を維持するつもりだ(注・CCCは『週刊東洋経済』における増田宗昭社長へのインタビューでこの問題の指摘を受け、雑誌の収蔵数を再拡大する方針を示している)。

雑誌以外にも武雄では重要な郷土資料が廃棄されたとの情報があった。真偽は不明だが、TRCとしては警戒感を抱き、絶対に廃棄されてはまずい重要な郷土資料を有馬で引き取ることにした。CCCからは「郷土資料は大量には中央館に置けない。ぜひ有馬で運用して下さい」と快諾された。

ほかにも小学生向けの本の問題がある。中央は料理や旅行といった大人向けの趣味の本と、絵本のような未就学児童向けの本が充実している。だがその一方で、青い鳥文庫のような小学生向けの本が大幅に減らされている。これらの本は休館中に地域の学校に預けられたまま中央に戻っておらず、まだ宙に浮いている(注・10月29日現在、順次戻す予定となった)。

――共同事業体を組んだ以上、TRCにも問題に対する責任があるのでは。

先に話したように提案はしてきたが、CCCに押し切られた。確かに共同名義で提案書を出したので、市からは「バラバラじゃ困る。一体となって運営してほしい」と言われたことがある。

公立図書館の運営は儲からない

――民間企業が公立図書館を運営するのは難しいのでしょうか。

TRCは2005年から指定管理者を務めているが、当初は批判されることも多かった。民間企業でできるわけがない、というのが主な批判の根拠。しかし実績を積んで、一定の評価をいただけるようになった。

批判はあるものの、公立図書館の運営には民間の知恵が求められている(撮影:大澤誠)

ただ、儲かる事業ではない。2009年まで、事業は赤字だった。もともと公立図書館を顧客としていたので、できる限り地域の力にならせていただこうと考えて取り組んできた。今は253館でやらせていただいているので、スケールメリットを効かせて利益を生めるようになった。しかし本来、収益性の高い事業ではない。しかも近年は指定管理料が低下している。この環境の中で、事業収益を維持していくのは本当に難しい。

民間の活力と創意工夫は公立図書館から求められているところ。CCCもデザインや空間作りはすばらしい。あんなに素晴らしいハードが作れるのに、深刻な問題があるというのはもったいない。
 

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