フランスに社会党政権が誕生なら、金融市場でユーロ危機再燃も--ドイツ有力経済人に聞く

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ECBは最近、従来の方針を変えた。1%の低利で3年物のLTRO(長期の担保資金供給オペ)による1兆ユーロ程度の資金供給を実施した。ユーロ圏の銀行などは同オペに応じて資金を調達し、国債を買えば儲けることができる。ECBがやり遂げたのは金融機関に対する間接的な国債を買う機会の提供と同機関の債務返済能力(ソルベンシー)の安定、の2点だ。

--ユーロ共同債の発行に対する考えは。

ユーロ共同債はマーストリヒト協定に背くものだ。同協定はユーロ加盟国のいかなる救済も想定していない。共同債は結局、ある国が他国の負債を肩代わりするものであり、違法だ。各国のリストラや改革に向けた努力を妨げてしまう安易な手段でもある。共同債発行で各国が合意に至ることはなかろう。

共同債はドイツがイタリア、スペイン、ギリシャなどの負債を代わりに引き受けるもの。肩代わりすれば、ドイツからは大量に資本が流出してしまう。同国国債の金利は上昇し、価格は低下。それはドイツの利益に反するものである。むろん、投資家にとってもだ。

共同債はあくまでもユーロ圏の財政安定が成し遂げられた後の話。ユーロ圏の財政ならびに産業政策などで各国の足並みがそろった段階で検討すればよい。話し合うのは今ではない。改革の過程が一巡した段階で話し合うものだ。

Roland Berger
米系コンサルティング会社勤務を経て1967年、ローランド・ベルガーを立ち上げる。現在は名誉会長。独ミュンヘン大学経済研究所理事や仏INSEADの役員にも名を連ねている。

(聞き手:松崎泰弘、宇都宮徹 =東洋経済オンライン)

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