フランスに社会党政権が誕生なら、金融市場でユーロ危機再燃も--ドイツ有力経済人に聞く
--仮にオランド大統領が誕生すると、政治面ではフランス、経済面ではドイツがイニシアティブを握るという、これまでユーロ圏を支えてきた「独仏枢軸」の枠組みも崩壊してしまうのでしょうか。
これまでの伝統的な枠組みはすでに変わった。ドイツの経済が重要性を増し、ユーロ危機を解決するためには同国のファイナンスが必要になっている。そうした状況下で、同国のユーロ圏における政治的影響力もさらに高まるべきだということをフランスは認識している。今後、仏独両国のユーロ圏での政治面での影響力は均一化してくるだろう。
基本的に両国の政治、経済政策には整合性がある。だが、フランスで社会党の新しい大統領が登場すれば、EU各国の財政協定合意へ疑問を投げかけるだろう。その結果、「新しいゲーム」が始まる。次のステップはいったい何なのか、それは誰もわからない。
もっとも、当初は金融市場でユーロ危機が再燃するものの、最終的にはフランスが「うわべだけの変化」であるにせよ、財政協定合意を受け入れると見ている。各国が合意した財政協定がユーロ圏を対外債務問題や財政・通貨危機から救う唯一の方法だからだ。
足元の「グッドニュース」はサルコジ大統領の支持率が上昇していること。個人的な政治信条とは関係ないが、ユーロや欧州の金融安定にとっても朗報だろう。
--メルケル首相はオランド氏に一度も会っていないと聞くが。
実際、メルケル首相はオランド氏に会っていないだろう。自分がメルケル首相の立場だったら、候補者に会うのを避けると思う。選挙前にそんなことをすれば、フランスの大統領選へのドイツによる介入と解釈されかねない。もしオランド氏が選挙で大統領に選ばれれば、メルケル首相は2週間以内に会うだろう。それがこれまでの伝統だ。
■ユーロ共同債発行なら、ドイツから大量の資本が流出
--EUの25カ国が調印した財政協定は欧州の財政危機を収束させるのに十分なのでしょうか。
十分かどうかは誰にもわからない。財政協定は3つから4つの大きなアクションプランで構成されている。1つ目はユーロ圏の周辺国のリストラ。労働コストや政府部門の赤字削減など緊縮政策を通じて競争力を取り戻すことに主眼を置いたものだ。同時に、それを通じて成長へのインセンティブを提供する。