「いま最もApple的」な新興デジタル製品メーカー《Nothing》の正体。透明パネルが特徴、ファンと独特な関係。注目のイギリス発ベンチャーを解説

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Nothing製品は発売のたびにガジェット好きの間で話題をさらい、「今度はどんな驚きがあるのか」と期待させるワクワク感の演出に成功している。製品発表イベントには、そうしたコミュニティを通じてファンが詰めかけ、NothingのDiscordコミュニティは日に日に拡大している。

総じてNothingは、ハードウェアスペック至上主義とは一線を画した、デザイン・UI・ユーザー体験で勝負する新世代のチャレンジャーだ。だからこそ「いまもっともApple的」だと評されるのだろう。

日本市場における課題とは

Nothingは新たに発表されたPhone (3)とHeadphone (1)で、特にスマートフォンについては日本市場向けにFeliCa(おサイフケータイ)対応を実現するなど、日本市場の開拓に本腰を入れている。

ペイ氏によれば、Nothing公式サイトへの国別アクセス数で日本はインド、アメリカに次いで3位に入るなど熱心な支持層が存在しているという。参入当初はオンライン直販や一部量販店・MVNO中心の緩やかな立ち上げだったが、今年に入って楽天モバイルを通じて2025年4月にミッドレンジモデルのPhone (3a)、8月にフラッグシップPhone (3)が発売されることになった。

黒住氏は「楽天のアプローチはディスラプティブな(常識や慣習にとらわれない)もので、我々と同様に新しいことへと挑戦しているので共鳴した」と楽天モバイルとの提携について説明している。

しかし、日本市場での本格的な成功には、まだいくつかの課題がある。最も大きいのは一般消費者の認知度の低さだ。現在のNothing支持層は主にテクノロジー愛好家や先進的なガジェット好きに限定されており、一般の消費者層への浸透は限定的だ。

Phone (3)は楽天モバイル全店舗で取り扱われる予定だが、楽天モバイル自体の市場シェアが約3%程度であることを考えると、大手キャリア3社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)での取り扱いが今後の成長の鍵を握る。

デザインやコンセプトのユニークさを武器に、現在は一部のガジェット好きにとどまるブランド認知を一般消費者にまで拡大できれば、次のステップへの道筋が見えてくるだろう。

Nothing
ブランド認知を一般消費者にまで拡大できるかが今後のカギになる(筆者撮影)
本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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