「いま最もApple的」な新興デジタル製品メーカー《Nothing》の正体。透明パネルが特徴、ファンと独特な関係。注目のイギリス発ベンチャーを解説
スマートフォン搭載機能のトレンドでもあるAIに関しても、独自のEssential Spaceで、日々の利用シーンで様々な記録を行っていき、そこで得られた音声、文書、画面、写真、動画などの情報を整理し、さらにはそこからアクションプラン提示までをAIでサポートする。
また新型ヘッドホンでは、タッチ操作などを廃し、ダイヤルやスイッチなど物理的な操作系をレトロチックにデザインし、音楽鑑賞に没入できる楽しさを演出している。
いずれも先進的技術を押し出すよりも、テクノロジーを起点に体験価値へと変換し、また価格面でも手が届く価格帯に落とし込むことに力を込めている。
Appleとは異なる“ファンとの関係”
コミュニティを巻き込んだモノづくりという点でも、かつてのAppleとの類似を感じる。往年のAppleファンが、自分たちの夢をかなえてくれる唯一のブランドとして熱狂的支持で黎明期を支えたように、Nothingを支えているのも製品リリース前からオンラインコミュニティに参加しているコミュニティメンバーだ。
異なるのは、このコミュニティを実にシステマチックに構築していること。ひとりひとりが株主としてコミュニティに参加し、資金調達するマイクロファンディングを組み込んだファンとのユニークな関係性を築くことに成功している。
コミュニティ向けには、壁紙やパッケージデザイン、製品カラーなどの限定版を公募により製品化する試みも行われるなど、ユーザー共創型ブランドとしての先端を歩んでいる。
形としてのコミュニティではなく、実際にブランドづくりに参加できる体制が、参加者たちのロイヤルティを高めると同時に、ブランドストーリーそのものを盛り上げる効果をもたらしている。
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