コンパルのオリジナルブレンドコーヒーは昭和22年の創業当時からブレンドが変わらない。コーヒー研究を重ねてきた創業者の味を、ブレずに、70年以上守り続けている。
どこ産の豆を使っているのか気になるところだが、どのような豆をどのような配合でブレンドしているかは、社長しか知らないトップシークレット。20年間勤務する播磨店長ですら、豆の詳しい情報を知らないという。
さらに、独特の配合でブレンドし厳選された豆を、濃く抽出するために極細挽に挽き、各店舗で熟練のスタッフが抽出する。この抽出方法がまたユニークだ。約8杯分のコーヒーを丁寧にネルドリップし、落ち切ったところで手鍋に移す。その手鍋を温めて、再びネルフィルターに通す “かえし”と呼ばれる手法で淹れている。2度フィルターに通すことで、コンパルでしか味わえない濃厚な一杯に仕上がるのだ。
月2万食売れる、名古屋名物・エビフライサンド
とはいえ、ここは個性豊かな喫茶店がひしめく愛知。おいしいコーヒーを提供する喫茶店は他にもある。群雄割拠の“王国”で、コンパルを特別な存在たらしめているのはサンドイッチのクオリティの高さだ。
コンパルでは、昭和35(1960)年から本格的なサンドイッチメニューの提供をスタート。長年レストランで勤務していたシェフをスカウトしてメニュー開発をしただけあって、20種類以上あるサンドイッチはどれも本格派。その中で、不動のNO.1に君臨しているのが「エビフライサンド(1200円)」だ。

この看板メニューが誕生したのは、昭和63年(1988)年5月のこと。栄西店のリニューアルにあわせて新たな目玉メニューを作ろうと、「値段は少々高くても本当においしいものを」というコンセプトで開発された。「僕は昭和62年生まれなので、エビサンと同世代なんです」と播磨店長は笑う。
「えびふりゃー」が名古屋名物なのかという点については議論のわかれるところだが、少なくともコンパルのエビフライサンドは、新たな名古屋名物としてすぐに大人気に。地元で愛されるだけでなく、全国放送で紹介され、さらにSNSなどを通じてエビフライサンドのおいしさは日本全国、海外へと伝わっていった。
「テレビなどで紹介された時は、ひたすらエビフライを揚げていた記憶があります。新品の油が昼にはダメになってしまって、お客さまに『すみません』と待っていただいて。一度フライヤーを洗って、油を入れ替えて、また閉店までずっと作り続けるという忙しさです」と播磨店長と語る。
発売から37年経つ現在も、過去最高売上を更新し続けている。月により多少の増減はあるものの、2024年以降は全店舗あわせて1万8000食から2万3000食がコンスタントに売れ続けている。
筆者もコンパルに行くと、必ずエビフライサンドを食べる。いや、逆だ。エビフライサンドを食べたくなると、コンパルに行くというのが正しいかもしれない。

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