コメダと双璧をなす「喫茶王国」の老舗チェーン→でも東京には出店せず→名古屋でしか味わえない「熱々から注ぐアイスコーヒー」の魅力

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大須本店は創業の翌年に移転して以降、77年間現在の場所で営業している。店内は40年ほど前に一度改装されたが、壁の一部や調度品などは開店当時のままで、昭和の面影が随所に残る。レトロ好きにはたまらない。商店街の喧騒を忘れて、つい長居してしまう居心地のよい空間だ。

店内
壁や床、柱の一部や調度品などは開店当時のままで、昭和の面影が随所に残る(筆者撮影)

創業者が研究を重ねてたどり着いた、“熱々のアイスコーヒー”

大須本店は地下鉄名城線・鶴舞線の上前津駅から徒歩で6分ほどの近さ。とはいえ、取材日は35度を超える猛暑日。まずは汗を落ち着かせるため、コンパルの看板メニューのひとつ「アイスコーヒー(500円)」を注文した。

アイスコーヒー
ホットコーヒーを自分で氷たっぷりのグラスに注ぐのがコンパルのアイスコーヒー(筆者撮影)

運ばれてきたのは、デミタスカップに入ったホットコーヒーと氷の入ったグラス。初めての方は「えっ? 注文間違っていませんか??」と戸惑うかもしれないが、これがコンパルのアイスコーヒー。

創業者である若田積蔵氏がホットコーヒーと同じ味わいを再現するために考案した、瞬時に冷却することで味や香りが損なわれない飲み方だ。ホットコーヒーよりも濃く抽出しているため、氷が溶けるとちょうどいい濃さになる。

メニュー
メニューにもアイスコーヒーの飲み方が書かれている(筆者撮影)

メニューにも書かれているが、飲み方はこうだ。お好みで砂糖をホットコーヒーに溶かしたら、自分でグラスに注ぐ。これが結構難しい。コンパルのアイスコーヒーをこぼさず注げるようになってはじめて真の名古屋人と認められるとか。筆者もいまだに3回に1回はこぼしてしまう。

うまく注ぐコツは、スピード。一気に、思い切って注ぐことだ。最後に、お好みでコーヒーフレッシュを入れれば出来上がり。

このコーヒーフレッシュもコンパルだけの特注品。添加物を一切加えず生乳だけで作られているので、ガツンとした味わいのコーヒーとよく合う。

アイスコーヒー
躊躇せず、一気に注ぐことがポイント(筆者撮影)
アイスコーヒー
生乳だけでつくられたコーヒーフレッシュは、写真からもその濃厚さが伝わる(筆者撮影)

コンパルのコーヒーは、ほどよい酸味があり、飲み込んでからもほどよい苦みと香りがしばらく続くほどの深みがある。名古屋の喫茶店は深煎りで濃いめのコーヒーが多いが、その中でもコンパルはかなりコクがある方だ。コンパルの味に慣れてしまうと、他のコーヒーでは物足りなくなってしまう。「濃厚なコーヒーにハマり、毎日のように通う常連さんも多い」(播磨店長)のもよくわかる。

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