「ホストを描き、初回から異例のテロップ」「イロモノと思わせて純愛」 ドラマ『愛の、がっこう。』が波紋を呼ぶも"名作"だといえるワケ
この社会には、教育を十分に受けられない子どもたちが存在している。もしもその子たちが義務教育だけでも受けられていたら、ほかに生きる道の可能性があったかもしれない。
たとえば、石井光太の『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文春文庫)では、最近、子どもたちの国語力が落ちている例として、『ごんぎづね』の内容が理解できないという実情を挙げている。
なぜこんなふうに国語力が落ちているのか。経済的な格差社会が教育の格差も広げているというのだ。
カヲルは愛実に漢字を教わり、文字に込められた意味を知る。そうすることで知識のみならず、思考力が養われていくだろう。
ホストクラブで行われている、行きすぎた行為を取り締まることも早急な問題ではあるが、根本的に、なぜホストという職業を選ぶ者がいるのか、彼らにハマって身を滅ぼす者がいるのか。そこには教育格差、経済格差が存在している。

振り返るか、振り返らないか
単なる禁断の愛ではなく、社会問題を解決する小さな一歩を進もうとする愛実とカヲルの関わりを、社会が許さない。2人が会うことは社会通念としていかがなものかということで、最後に海でデートをすることに。
ホストと真面目な高校教師のお別れ海デート回(第7話)はこれでもかというほど丁寧に撮影されていて、イメージ映像みたいだったけれど、美しかった。
海のデートを楽しみ、お別れのキスをした2人。駅の改札で愛実だけが中に入り、カヲルは見送る。愛実が振り返るか、振り返らないかで興味を引っ張る『東京ラブストーリー』パターンで、振り返っても振り返らなくてもどっちでも正解。振り返ったら盛り上がるし、振り返らなかったら切ないし。
結果は、振り返らなかったのだが、そのときのカヲルは海の町で買った帽子を目深にかぶって表情を見せない。その仕草が切なさを高める。

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