ユニクロもコラボした「ラブブ」、世界的ブームで最高益、快進撃の舞台裏。ポップマートCEOが明かした“キティ、ナルト”への野望

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筆者はこの数カ月、日本メディアからラブブについて何度も問い合わせを受けたが、実はおひざ元の中国でも今年初めごろから、「なぜラブブが海外で受けているのか」が大きな話題になった。「ポップマートと言えばモリー」のイメージが強い中国人にとってもラブブのヒットは意外だったのだ。

ポップマートの2025年1~6月の中国市場の売上高は同2.3倍の82億8000万元(約1700億円)。一方、海外売上高は同5.4倍の55億9000万元(約1150億円)で、全体の40.3%に達した。

地域別では東南アジアを含むアジア太平洋地域が同3.6倍増の28億5000万元(約580億円)と最多だが、北米が同12倍超の22億6000万元(約460億円)と猛烈な勢いで伸びており、アメリカの店舗数も1年間で4倍に増えている。

王寧CEOは7月の現地テレビ局の取材で、「東南アジアと北米だけで前年同期の中国の売上高に匹敵する。今年は北米が東南アジアを抜き、海外販売が国内を抜く」と見通しを語っている。

ぬいぐるみの投入が大当たり

海外でのラブブ人気は、ポップマートに新たな商品カテゴリももたらした。

同社はプラスチック製のミニフィギュアをブラインドボックスと呼ばれる中身の見えない箱に入れて売るビジネスモデルで、いわゆるフィギュアメーカーととらえられてきた。

ラブブのヒットを受けてポップマートは2024年にラブブのぬいぐるみを投入し、これが大当たりした。インフルエンサーが競うようにエルメスやルイ・ヴィトンなど高級バッグにラブブのぬいぐるみをぶら下げてSNSに投稿するようになり、世界的人気の原動力となった。

ラブブのぬいぐるみ
ラブブのぬいぐるみは、世界中のセレブやインフルエンサーたちの間で広がっていった(写真:Backgrid/アフロ)

ぬいぐるみに商機ありと見たポップマートは今年に入り、モリー、SKULLPANDA(スカルパンダ)など他のシリーズでもぬいぐるみ製品を次々に投入している。

その結果、2025年上半期のぬいぐるみの売上高は全体の44.2%を占める61億4000万元(約1260億円)に達し、フィギュアの売り上げを初めて上回った。

王寧CEOは決算発表会で、「我々がぬいぐるみという新しい市場を開拓できたから、ラブブの売り上げを最大化できた」と語った。

ポップマート=プラスチックのミニフィギュアのイメージが強かった筆者は、SNSでラブブだけはぬいぐるみが多いことを認識し、「最近こういうのも売ってるのか」と思っていたが、決算ではそのぬいぐるみこそが最高益の立役者であることが明らかになった。このことは筆者ならず中国の関係者にも大きな驚きを与えている。

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