ユニクロもコラボした「ラブブ」、世界的ブームで最高益、快進撃の舞台裏。ポップマートCEOが明かした“キティ、ナルト”への野望

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当初はおしゃれなデザインの商品を仕入れて店舗で販売するだけだったが、2015年に日本から輸入したソニーエンジェルのミニフィギュアが爆売れしたのを機に、ミニフィギュアの製造販売に転じた。

ポップマートの差別化の原点は、発掘したデザイナーからキャラクター(IP)の著作権を獲得し、デザイナーには利益を分配する方法を取った点にある。

最初に大ヒットした自社IPはMOLLY(モリー)。ポップマートを2020年に香港上場に導くなど同社の急成長の立役者となり、2024年前半までラブブより売れていた。

タイの店舗で販売されていたMOLLYの商品
タイの店舗で販売されていたMOLLYの商品(写真:筆者撮影)

ラブブは2016年ごろ香港のデザイナーが生み出した妖精ファミリー「ザ・モンスターズ」の1キャラクターで、ポップマートが2018年にIPを取得して商品化した。

というと、「そんな前からあったんですか」と驚くかもしれない。ポップマートのIPをキャラクターに例えると、モリーが不動のセンターで、ザ・モンスターズはその脇を固める古参メンバーという位置づけで、固定ファンはついているものの注目度は高くなかった。

売り上げに占めるザ・モンスターズの比率は2年前の2023年1~6月が5.7%(約1億6000万元)で、全体の4番手、東南アジアで人気が急伸した2024年1~6月でも13.7%(約6億2000万元)だ。

7月末に筆者が訪れたタイのポップマート店舗
7月末に筆者が訪れたタイのポップマート店舗(写真:筆者撮影)
タイで人気に火がついた「ラブブ」の商品
タイで人気に火がついた「ラブブ」。店頭にも関連商品が並ぶ(写真:筆者撮影)

なぜ目立たなかったラブブが短期間で世界の脚光を浴びたのか。8月20日に開かれた決算会見では、ポップマートの経営判断と密接に関係していることが、経営陣から語られた。

北米で売り上げ12倍に!

ポップマートは2018年に海外展開を始めたが、本格化したのは2024年。東南アジアを中心に欧米や北米にも店舗網を広げ、海外店舗は50店増加して130店舗に達した。

そのタイミングで韓国のガールズグループBLACKPINKのタイ人メンバーであるリサがSNSで紹介するようになって人気に火が付いた。

中国では目新しさのない古参IPだったが、そういった先入観がない海外の消費者にとって、ラブブは「セレブやインフルエンサーが愛用するキャラクター」として新鮮に映った。

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