パート主婦が消える? パート労働者への社会保険適用拡大の是非

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医療保険の場合、会社員などが入る健康保険であろうと、自営業者などが入る国民健康保険(国保)だろうと、かかる医師を自由に選べ、3割の自己負担で医療を受けられる。ただ健康保険などの被用者保険に移ると、けがや出産の際に手当金がつく。この機能は国保にはなく、単身世帯や母子家庭の母親にとって、適用拡大はプラスと評価できそうだ。

保険料負担のない被扶養者のメリットを享受するため、パート主婦はこれまで年収130万円の「壁」を越えないよう、労働時間を調整するといわれてきた。今回の適用拡大で、こうしたパート主婦が激減するかもしれない。3月に開催された社会保障審議会の検討会議では、「保険料負担が増えることを医療保険加入者にどうやって説明したらよいか」と戸惑う声も上がった。

企業や健保に深刻な影響 3年以内に対象拡大も

一方、適用拡大によって企業の負担は増える。厚生労働省が3月に示した試算では、年金で500億円、医療保険で300億円、事業主負担は計800億円増える。

適用拡大に対して、特に強い反対の声を上げているのが、パート労働者を多く雇用する流通や外食、医療・福祉関係の業界団体だ。週20~30時間労働の人が占める割合は、流通や外食で2割強、医療・福祉でも約17%に達する。

3月23日には流通・サービス関係17団体が集まって都内で適用拡大反対集会を開き、日本チェーンストア協会の清水信次会長は、「今の政権は消費税の5%引き上げ、東京電力の値上げとかマイナスばかりやっている。国家の暴走を止めないと、亡国の悲哀を再びなめることになる」と政府を批判した。

さらに、年金と医療保険で影響が異なることが、事態を一層ややこしくしている。 

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