パート主婦が消える? パート労働者への社会保険適用拡大の是非

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パート労働者以外の課題が抜け落ちた議論

結局この問題では何が問われているのか。労働政策研究・研修機構の浅尾裕研究所長は、「最も大きな影響を受けるのは、扶養されていないパート層。典型例が母子世帯の母親だ」と指摘する。子育てのためパートでしか働けない事情があり、収入も低い。長期的には被用者保険へ適用拡大することは望ましいが、本人にしてみれば、短期的には保険料負担を重く感じるかもしれない。この問題が一筋縄ではいかないゆえんだ。

また、非正規労働者の7割を占めるパート労働者に議論を絞ったため、それ以外の非正規労働者の問題点が、結果的に検討対象から抜け落ちてしまっている。

さらに、勤務先を2~3カ所掛け持ちして働く「ダブルジョブ」という働き方。母子家庭の母親に多い働き方だとされるが、1カ所の勤務が20時間未満なら、複数事業所の勤務時間を名寄せしないかぎり、社会保険の対象とはならない。

パート労働者への社会保険の適用拡大は、まさに「一歩前進」。問題解決の始まりにすぎない。

(撮影:梅谷秀司 イラスト:中井 涼 =週刊東洋経済2012年4月14日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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