あなたの銀行は大丈夫?――きちんと知っておきたい「地銀」と「信託銀行」のホントの話

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「併営業務」とは?

もう1つの「併営業務」には、遺言の保管や遺言執行業務などの相続関連業務、企業の株主の名簿を管理する業務などの証券代行業務、不動産の売買の仲介業務などがあります。

信託業務は金融機関以外の信託会社も行うことができますが、この併営業務は兼営法の認可を受けた金融機関しか行うことができません。

もっとも、この認可を受けている金融機関は都市銀行、地方銀行を含めて数多くあります。そのうち「信託銀行」と呼ばれている銀行は、何度かご紹介している金融庁の銀行免許一覧の中で信託銀行に分類されている13行を指すのが一般的で、先ほどの信託協会の定義よりも狭くなることになります。

日本の代表的な信託銀行

例えば、メガバンクのグループである三菱UFJ信託銀行(三菱UFJフィナンシャル・グループ)、みずほ信託銀行(みずほフィナンシャルグループ)、SMBC信託銀行(三井住友フィナンシャルグループ)の3行は、代表的な信託銀行です。

さらには、三井住友信託銀行も大手の信託銀行の1つです。ただし、少し紛らわしいのですが、「三井住友」とは付いていても、現在は三井住友フィナンシャルグループとの関係は希薄になっていて、直接的な資本関係もありません。そのため、三井住友信託銀行は独立系の信託銀行と呼ばれたりもします。

メガバンクのグループではないぶん、通常の銀行業務にも力を入れていて、信託銀行の中でも預金量は最大を誇ります。

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また、証券最大手の野村證券のグループである野村信託銀行もあり、先ほどの13行の中でリテール(個人向け)業務を行っているのは主にこの5行。そのほかの信託銀行はほとんど法人向けにビジネスを展開していますから、それも信託銀行が一般にはあまりなじみがない理由の1つです。

信託銀行といえば、富裕層向けの銀行というイメージもあるかもしれません。

けれども、2024年から新NISAがスタートしたこともあり、投資信託が幅広い層に普及するようになっていますし、相続税がかかる範囲が広がったことで、相続をなるべくスムーズに行いたいと考える人なども増えているようです。私たちが信託銀行と関わるケースも増加し、今後はもっと身近な存在になっていくと考えられます。

菊地 敏明 金融エディター

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きくち としあき / Toshiaki Kikuchi

1969年生まれ。横浜市出身。1993年に学習院大学を卒業後、月刊総合誌、ビジネス書などの編集に携わる。大手教育関連企業の出版編集室を経て、2007年に株式会社想研入社。同社が発行する金融情報誌『Ma-Do』で投資信託を中心とする資産運用ビジネスの情報を取り扱い、銀行や証券会社、運用会社などの取材も数多く手がける。長らく同誌編集長を務め、2019年には執行役員に就任。2023年にフリーランスに転身し、引き続き『Ma-Do』特任シニアエディターを務める傍ら、さまざまな金融コンテンツの作成に携わる。

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