「82歳で台所をリフォーム」し、素敵に暮らす88歳。「60代、70代でリフォームしなくてよかった」と考える、“共感しかない理由”

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「そこで棚ではなく引き出しにしたいと考えて、食器棚があったスペースの腰から下を引き出しにしてもらいました。引き出しの中の仕切りは、収納する食器や道具、乾物類などのサイズに合わせて、100均ショップで購入した仕切り板や空箱を組み合わせて自分で作りました。大きな皿や重みのある焼き物は立てて収納します。椀も皿もできる限り重ねず、1つにつき1カ所の指定席を作ったわけです」

台所
腰から下のスペースを食器用の引き出しに。お気に入りの器も一目瞭然だ(写真:書籍『85歳現役、暮らしの中心は台所』より、撮影:長谷川潤)
85歳現役、暮らしの中心は台所: 生活道具の使い手として考えた、老いた身にちょうどいい生き方と道具たち
『85歳現役、暮らしの中心は台所: 生活道具の使い手として考えた、老いた身にちょうどいい生き方と道具たち』(小学館)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

愛してやまない食器たちの一方で、吊り戸棚の中身はほとんどいらないものだった。捨てられなかった空き箱やプラスチック容器など、いつかこれがあると便利かも? と思わせるものが大半だったと苦笑する。

「若い頃は、収納スペースが多いと喜んだ吊り戸棚ですが、いつの間にかいらないものをしまいこむ場所になっていたということが、よくわかりました。だいたい本当にあると便利なものなら、もっと使いやすい場所にしまうはずでしょ?」

自戒をこめた髙森さんの問いかけに、思わずうなずく読者も多いのではないだろうか。

唯一残した吊り戸棚は、元の位置から約27センチ下げた。現在は152センチほどに縮んだ髙森さんが背伸びをすると、扉内の上の棚にやっと手が届く位置である。ここには重量がある鍋類も収納。

台所
一部だけ残した吊り戸棚も、手の届く高さに(写真:書籍『85歳現役、暮らしの中心は台所』より、撮影:長谷川潤)

一般的なキッチン収納の基本は“重いものは低いところへ”だが、それは若い人たちの視点だと、髙森さんはいう。

「今の私はしゃがんで重いものを持って立ち上がるより、背筋を伸ばして上からおろすほうが体はラクですね」

ちょっとしたストレッチも兼ねて、台所にいる時間をより楽しんでいる。

思いがけず、自炊を大切にする暮らしに

ガス台につなげて作った引き出し収納の天板上が、そのまま念願の配膳スペースとなった。その長さ2メートル。ガス台の近くに器を広げて、できたての料理をすぐに盛り付けることができる。配膳スペース以外には、電子レンジやトースターも余裕で置くことができる。

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