「アパレル起業で年商7.2億円」を捨てて飲食事業に参入→行列店を次々と手掛ける!27歳・気鋭の若手起業家の”抜け目ない戦略”

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穀本氏は1998年2月、大阪生まれ。11歳からは鳥取で育った。

大学進学を機に上京するが、進学先は滑り止め。志望していた大学に落ちたことがコンプレックスで「だからこそ大学時代は何かを成し遂げたいと思っていた」(穀本氏)という。

そこで、大学在学中の2017年ごろから服好きの穀本氏はInstagramに毎日欠かさずコーディネート写真を投稿し続けた。根気強く続け、今ほどInstagramが普及していない当時でフォロワーが1万人を超えていき、いわゆる「インフルエンサー」になった。

折しも当時はD2C全盛期のはしり。インフルエンサーがアパレルブランドを立ち上げて服を販売する動きが流行り始めていた。穀本氏もその流れに乗り、自身のブランド「AVANZAR」を立ち上げる。そしてInstagramのフォロワーに向けて服を販売すると、これが売れた。「軽いノリで始めた」というが、1年で500万円が手元に残ったという。

多くのインフルエンサーブランドが登場する中、なぜそこまで売れたのか? 自身ではどう分析しているのか、尋ねてみた。

「他のインフルエンサーがやらないことをやろう、とは意識していましたね。当時はぴちぴちのデニムが流行っていたのですが、そのデザインをそのままやるのではなく、僕のブランドでは裾までぴちぴちにして、流行りの型ではありつつもちょっと他とは違う仕立てを入れてみたり。細かいところまでこだわったのが差別化になったのかなと思います」(穀本氏)

この経験が今の商売の原点になっているという。

同時に就活も行い、ウェブマーケティング会社の内定を得たものの悩んだ末に起業の道を選ぶ。アパレル販売で得た500万円を元手に、2020年3月、株式会社A.Z.Rを設立した。

「年商1億の壁」にぶつかり、仲間を誘い組織化

多くの起業家がぶつかる「年商1億の壁」。年商1億円規模まで事業を伸ばすことはできるが、そこを突き抜けられない起業家は多い。穀本氏も例外ではなかった。

「自分一人のリソースでは1億円が限界だと感じた」。そこで、知り合いのインフルエンサーたちを誘い、計8人で組織化する。各人がディレクターとなったアパレルブランドを打ち出し、穀本氏が大学時代に得たノウハウを生かしながら売上を伸ばしていった。

その時に生まれたのが「Younger Song」や「HTH(Hotter than Hell)」など、今ではファッション好きのZ世代にはおなじみのブランドの数々だ。インフルエンサーを起点にSNSでバズを起こし、ネットを中心に服を販売しつつ実店舗も出店。順調に売上を伸ばし、3期目の2022年には年商7.2億円までに成長した。

「HTH」の原宿店
「HTH」の原宿店。ネット販売のみならず好調なブランドは実店舗も展開した(筆者撮影)
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