玄関先で子どもと話していると、大人が7人ほどぞろぞろとやってきた。そのうちの1人が「おたく、誰ですか?」と二見氏に聞く。ただ、それは二見氏も同じである。こっちは依頼を受けて現場に来ているのに、本人である母親がいないのだ。
「全員、その子どもが通っている小学校の先生でした。先生たちいわく、母親は嘘をよくつく方で、学校としてもかなり困っていたみたいです。男の人の家に行ったきり、子どもを放置したまま帰ってこない。だから、先生たちが代わりに自腹で食料を買い、こうして家まで届けにきていたんです」
おかげで飢え死にすることはなかったが、そのゴミが溜まっていった。部屋の中は生ゴミだらけ。子どもに対する愛情も感じられず、「育児放棄」と言うよりなかった。

料金未納のままLINEをブロックされることも
片付けの料金を踏み倒した女性もいた。シングルマザーの家庭は経済的に困窮している例も多く、生活保護を受けていることもある。まとまった費用を一度に払えない家庭には分割の支払いを提案することもある。その場合でも、イーブイが利子を要求することはない。

「月に2万円ずつ支払いをしていくという約束でしたが、たびたび滞ってしまう方がいました。
契約書は交わしていますが、子どものことを言われたら『意地でも払え』なんて僕らも言えるわけがないじゃないですか。
次第に連絡がつかなくなり、LINEをブロックされたこともあります」
弁護士を雇って取り立てることもできる。しかし、そうするためには時間も費用もかかってくるし、月130軒のゴミ屋敷を片付けるイーブイにその暇はない。加えて、相手に支払う能力がないのであれば、弁護士を立てたところで意味はない。結局のところ、泣き寝入りするしかないのだ。
さらに、生活保護を受けている家庭の片付けをする場合、必然的に料金は相場よりも低く見積もらなくてはいけない。

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